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【W杯3位決定戦】クロアチア対モロッコ、極めて珍しい初戦の相手との“再戦”。攻守を支えるブロゾビッチとアムラバトがどれだけ強度を上げられるか

カテゴリ:国際大会

河治良幸

2022年12月17日

評価を高めた両指揮官の交代策にも注目

3位の座をかけてクロアチアとモロッコが激突。(C)Getty Images

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 カタール・ワールドカップも、残すところあと2試合。本稿では、日本時間12月17日の24時にキックオフ予定の3位決定戦、クロアチア対モロッコを展望する。両国はグループFで同居し、初戦で対戦。0-0のスコアレスドローだったが、今回は果たして――。

――◆――◆――

 初戦で当たった相手との“再戦”ということ自体が極めて珍しいが、かつてないモチベーションの高い3位決定戦になることが予想される。

 前回大会準優勝のクロアチアは、決勝トーナメント以降は日本、ブラジルにPK戦で勝利してきたが、準決勝でアルゼンチンに0-3で完敗した。ただ、ズラトコ・ダリッチ監督も選手も3位という結果を勝ち取って帰ることで一致団結しているようだ。

 独立国家としてクロアチアが初出場した1998年のフランスW杯で、オランダに勝利して3位を勝ち取ったチームは伝説であり、選手としては代表と無縁だったダリッチ監督はもちろん、ルカ・モドリッチなどベテラン選手も記憶を共有している。

 20歳のヨシュコ・グバルディオルら若手は当時、まだ生まれていないが、話を聞かされて育っているだろう。そして37歳のモドリッチにとって、このモロッコ戦はW杯のラストゲームになるかもしれない。

 一方、スペイン、ポルトガルを破ってきたモロッコは、準決勝ではフランス相手に健闘したが、終盤に突き放されて0-2で敗れた。スタートは5バックで臨むも、キャプテンのロマン・サイスが左足の負傷を再発させて、元の4バックに変更。そこから躍動的な戦いでフランスを苦しめたが、勝利は手にできなかった。

 ワリド・レグラギ監督は大会が進むにつれ、体力面が厳しくなっていることを認め、そこがファイナルに進んだチームとの明確な差であることを主張する。

 しかしながら、アフリカ勢として初のベスト4に躍進したモロッコにとって、3位で終えることの価値は大きい。さらにカタール開催ということで、“アラブ代表”としての期待もある。ここまでチームを支えてきた熱狂的なサポーターが、この3位決定戦にどれだけ駆けつけるかは分からないが、応援の数とボリュームではクロアチアを圧倒することが予想される。
 
 グループステージの初戦はお互いが慎重なところもあり、探り合いのなかで、クロアチアはモロッコの守備を崩せず、逆にモロッコもカウンターでチャンスを得るものの、攻めきれずにスコアレスドローとなった。

 今回はすでに手の内をおおよそ知っているだろうが、体力的な疲労にどう向き合っていくのか。クロアチアは中3日、モロッコは中2日という差は、決勝の中4日or中3日よりも影響するかもしれない。

 おそらく4-3-3のぶつかり合いになるなかで、攻撃のキーマンはクロアチアが中盤のモドリッチと左サイドのイバン・ペリシッチ、モロッコはアゼディン・ウナヒと右サイドのハキム・ジイェフだろう。

 ただ、やはりクロアチアのマルセロ・ブロゾビッチ、モロッコのソフィアン・アムラバトというチームの攻守をオーガナイズしてきた2人の強度も、勝敗に大きく関わってきそうだ。両チームともスタメンは固定的だが、途中出場で結果を出している選手も多く、コンディション面を考えた入れ替えもあるかもしれない。

 体力的にはギリギリな状況で消耗戦になるかもしれないが、両チームにとって大会最後の試合になる。力を出し切った結果、どちらに勝利が転がり込むか。大会を通じて評価を高めてきたダリッチ監督とレグラギ監督が、どこでどう交代カードを切っていくかにも注目だ。

取材・文●河治良幸

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