ラ・リーガのレアル・マドリーに所属するブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオールに対する発言が、波紋を広げている。

　発言主は、スペインのサッカー代理人協会（AEAF）のトップを務めるペドロ・ブラボ氏だ。同国のテレビ番組『El Chringuito』に出演し、先週末に行なわれたマジョルカ戦でゴールを決めたヴィニシウスが、セレブレーションでダンスを披露したことに対して、このように発言したのだ。

「君（ヴィニシウス）は対戦相手を尊重するべきだ。サンバを踊りたいならブラジルに帰るがいい。スペインではライバルを尊重し、まるでサルのようなダンスを披露するのはやめろ」

　このコメントは同国のジャーナリストやサポーターによって拡散され、炎上状態になっている。ブラボ氏は自身のTwitterを通じて謝罪。「ヴィニシウスのゴールセレブレーションダンスを表現するために、私が誤って使用した“サルを演じる”という表現は、比喩の意味（「ふざけた行為」）であることを明確にしておきたい。誰かを傷つけるつもりはなかった。心からお詫びします。ごめんなさい！」と発信した。
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　だが、怒りが収まらないのが同胞だ。ブラジルのレジェンドOBペレ氏は、自身のインスタグラムで「サッカーは喜びであり、ダンスだ。残念ながら人種差別は存在する。我々の笑顔が失われるようなことは許されない。今後も、自分たちの幸せと尊重の権利を守るため、私は日々戦い続けていく」と綴っている。

　また、リーグ・アンのパリ・サンジェルマンに所属するネイマールも、SNSを通じて“抗議”。「踊れ、ヴィニシウス」とポルトガルで綴り、これまでに47万の「いいね」がつく大反響となっている。さらに、ブラジルサッカー連盟（CBF）は「人種差別的な発言を非難する」とし、所属元のマドリーも「人種差別には法的手段をとる」と声明を発表している。

　そんななか、ヴィニシウス本人も自身のSNSを通じてコメント。「外国人を嫌悪する、そして差別の被害に遭った。ゴール後のダンスは、世界における文化の多様性を祝福する意図があると思う。誰かに受け入れられようが、拒否されようが、気が狂おうが、自分は辞めるつもりはない」とキッパリ言い放った。そして、「台本の最後には必ず、『誤解だ』と謝罪して終わる。でも、差別主義者のあなたにもう一度言う。僕はダンスを辞めない。サンボードロモでもベルナベウでも。舞台はどこであろうと変わらない」とメッセージを送っている。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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