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【神戸】ACL制覇へ意志統一はできていたのか。悔しき敗退の裏で響いた槙野智章からの問いかけ

カテゴリ:国際大会

本田健介(サッカーダイジェスト)

2022年08月23日

先発を入れ替えて臨んだ準々決勝で敗れる

試合後には古巣の浦和に所属する酒井(写真左)へ想いを託したという槙野。神戸のアジアへの挑戦は今季は準々決勝で幕を閉じた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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[AC準々決勝]神戸1-3全北現代/8月22日/埼玉スタジアム2002

 120分を戦い抜き、力を使い果たした選手たちがその場に崩れ落ちる。

 ACLの準々決勝、全北現代と対戦した神戸は延長戦の末に1-3で敗れ、今年3月から始まった長いアジアでの冒険を終えた。

 日本勢対決となり、激闘の末にリーグ首位の横浜を下したラウンド16から中3日。しかもキックオフはまだ暑さの残る16時だ。

「勝っても2日後に試合(準決勝)。ましてや今日のキックオフの時間。3試合(ラウンド16~準決勝)を全部勝つことを前提に考えた時に、今日はスタメンを入れ替えたほうが良いと判断した」

 6月末に3度目の就任を果たした吉田孝行監督は、条件を踏まえ、ラウンド16の先発から7人の入れ替えを選択した。

 大迫勇也、足の状態が万全ではなかったというイニエスタはベンチにも入らずスタンド観戦。一方で、右SBにはユースから昇格して1年目の19歳、尾崎優成を抜擢し、中盤2列目には23歳の郷家友太、25歳の中坂勇哉、21歳の小田裕太郎を起用。CFには夏に加入したFWムゴシャを入れた。

 もっとも指揮官は怪我明けの小田に関しては「最初から45分と決めていた」と語り、良さを示し切れなかったムゴシャのフル出場起用は「FWで万全の選手が今いません」と苦しい台所事情を吐露。難しい判断だったことを明かしている。
 メンバーを大きく入れ替えた影響か、神戸はミスも重なりスピードが上がらない状態が続くも、前半は全北現代のロースタートぶりもあって比較的、優位にゲームを進めたように映る。
 
 64分にはCKの流れから尾崎がシュート性のクロスを入れると、GKが弾いたところを途中出場の汰木康也が詰めて先制に成功する。

 内容よりもまずは結果。先を見据えて何よりも勝ち上がりを重視したと考えれば、ここまでは上々の展開だったはずだ。しかし、経験値の浅い選手もおり、どこかチグハグさが否めない。それだけに試合は簡単には進まなかった。

 得点直後の66分、チームを引き締めるべきボランチコンビ、山口蛍と小林祐希のパス交換にミスが生じる。相手のカウンターにつなげられると、尾崎の背後を突かれて失点。

「決して気を緩めたわけではなかったと思いますが、どこかに甘さがあったのかもしれません。自分には防ごうと思えば防げた失点に見えました」と指揮官が悔いれば、カバーが間に合わなかった槙野智章も「自分たちでゲームを難しくしてしまった。得点をしたあとに失点してしまう悪い癖が出た」と振り返る。

 1-1に追いつかれた後はFW武藤嘉紀らを投入するも、 全北現代が攻勢を強める展開は変えられない。延長前半13分には後半頭から出場していた相手FWグスタボに左からのクロスを頭で押し込まれて逆転を許す。そして全員攻撃を仕掛けた試合終了間際のCKで、ボールを奪われると、無人のゴールへシュートを流し込まれる。悔しさが募る敗戦となった。

「クラブでこの大会を取りにいくところを、もうちょっと出さないといけなかったんじゃないかと思います」

 試合後、そう投げかけたのは浦和で何度もACLを経験し、アジアの戦いの酸いも甘いも知る槙野だ。

 チームはリーグ戦で残留争いの真っ只中におり、大会に臨むにあたって気持ちの揃え方は非常に難しいものがあったように映る。「この大会に懸けていた」という選手たちの言葉は真実だろうが、どこかリーグ戦への不安もよぎってしまう状況である。

 指揮官としても怪我人がさらに増え、今後に影響が出ることは何よりも避けたかったのだろう。

 8日間で3試合を戦うかなりのハードなスケジュールだ。選手を入れ替えて戦う選択は、決して間違ったものではない。総力戦で臨むという考え方はひとつの方法だろう。

 ただ、この日、準決勝進出を決めた浦和と全北現代はラウンド16のスタメンから大きく変えずに試合に臨み、勝ち上がりを果たしている。両チームともに、一戦一戦を決勝戦のように捉え、東地区王者になるチャンスを得た。

 片や苦しいチーム事情があったことは十分に理解できるが、神戸はそれでもこの大会を本気で獲りに行く意思統一は図れていたのか。結果論ではあるが、得点直後の失点シーンを見ると、どこか歯車が噛み合ってなかったように映る。

 3月のプレーオフは三浦淳寛体制、4月のグループステージはロティーナ体制、そして決勝トーナメントは吉田体制と、すべて異なる監督の下で戦ったチームは、勝ち上がることに得るはずだった一体感、大会への想いをどこか生み出しきれずに進んできてしまった部分もあるのかもしれない。

 アジア制覇をクラブの大きな目標として掲げるが、リーグ戦の躓きが大きく影響してしまった。それはつまるところ、これまでの積み重ね、チームとしての指針作りという課題にも直結する。今後どう進むべきか、アジアで勝ち上がるにはどうするべきなのか。今回の敗戦は様々な意味を含んでいるように感じる。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

【PHOTO】埼玉スタジアムに集結したヴィッセル神戸サポーター!

【ACL準々決勝PHOTO】神戸1ー3全北現代|汰木のゴールで先制に成功するも…リードを守り切れず延長戦の末に敗退
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