苦しい展開でモノをいった知恵
[J1第25節]柏2-3広島/8月14日/三協フロンテア柏スタジアム
苦しむチームを救ったのは、柏好文だろう。
うだるような暑い夏の5連戦ラストマッチに、敵地に乗り込んだ柏戦で、広島は4分にナッシム・ベン・カリファがネットを揺らした。幸先よく先制したものの、さすがに無理が祟ってきたのか、前半から選手たちの足は重たそうだった。
そうなると4連勝で勢いに乗っている柏に押し込まれるのは必然の流れだろう。41分には相手のパスワークについていけず、47分にはミスからオウンゴールで失点。広島は瞬く間に逆転を許した。
こういう展開でモノをいうのが知恵だ。厳しいスケジュールなのだから根性論で走力を要求するのは無茶なので、いかに効率よくプレーするかが肝要になる。このキーポイントを体現したのが、序盤は右ウイングバックで出場し、途中から左に移った柏好文だった。
柏好文は61分、左サイドでパスをもらうと、森島司にボールを預け、ゴール方向へ走ってリターンパスを受ける。斜めのランニングとシンプルな連係で相手DF2枚を剥がし、カバーに入った柏DF上島拓巳を引き付けてから、ドウグラス・ヴィエイラにキラーパスを供給。最後はD・ヴィエイラのポストを受けた松本泰志がミドルシュートを決めた。
ギアを上げるタイミング、ランニングのコース、相手DFとの駆け引き、すべてが絶妙。もちろん松本のシュートも素晴らしかったが、余裕を持って右足を振り抜けたのは、複数の相手DFを引き付けた柏好文の好プレーがあったからだろう。同点弾で息を吹き返したチームは運動量も蘇り、67分に藤井智也が追加点を決めて勝ち越した。
苦しむチームを救ったのは、柏好文だろう。
うだるような暑い夏の5連戦ラストマッチに、敵地に乗り込んだ柏戦で、広島は4分にナッシム・ベン・カリファがネットを揺らした。幸先よく先制したものの、さすがに無理が祟ってきたのか、前半から選手たちの足は重たそうだった。
そうなると4連勝で勢いに乗っている柏に押し込まれるのは必然の流れだろう。41分には相手のパスワークについていけず、47分にはミスからオウンゴールで失点。広島は瞬く間に逆転を許した。
こういう展開でモノをいうのが知恵だ。厳しいスケジュールなのだから根性論で走力を要求するのは無茶なので、いかに効率よくプレーするかが肝要になる。このキーポイントを体現したのが、序盤は右ウイングバックで出場し、途中から左に移った柏好文だった。
柏好文は61分、左サイドでパスをもらうと、森島司にボールを預け、ゴール方向へ走ってリターンパスを受ける。斜めのランニングとシンプルな連係で相手DF2枚を剥がし、カバーに入った柏DF上島拓巳を引き付けてから、ドウグラス・ヴィエイラにキラーパスを供給。最後はD・ヴィエイラのポストを受けた松本泰志がミドルシュートを決めた。
ギアを上げるタイミング、ランニングのコース、相手DFとの駆け引き、すべてが絶妙。もちろん松本のシュートも素晴らしかったが、余裕を持って右足を振り抜けたのは、複数の相手DFを引き付けた柏好文の好プレーがあったからだろう。同点弾で息を吹き返したチームは運動量も蘇り、67分に藤井智也が追加点を決めて勝ち越した。
この日も90分間走り切った35歳の柏好文は鉄人ウイングバックだ。守備時はピンチになる前に自陣に戻って5バックを形成し、攻撃時はチャンスシーンで一気にギアを上げて顔を出す。
攻守に貢献できるのも、単にスタミナが豊富なだけではなく、戦術眼にも優れているからだろう。柏好文はサイドを闇雲にアップダウンせず、得点につながる重要局面でスプリントしている。ホームの鹿島戦で決めた2ゴールは典型例で、ストライカーさながらの“嗅覚”だった。まさに秀才。頭も良くないと鉄人にはなれない。
個人的にはJリーグ最高のウイングバックは柏好文だと、ずっと思ってきた。ベンチスタートになると自らの主張が揺らぎかける時もあるのだが、いざピッチに立てば、やはり戦況に応じた的確なプレーを披露するから舌を巻く。三協フロンテア柏スタジアムで広島の18番を目で追っていたら、サッカーの奥深さをまたひとつ教えてもらったような気がした。
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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攻守に貢献できるのも、単にスタミナが豊富なだけではなく、戦術眼にも優れているからだろう。柏好文はサイドを闇雲にアップダウンせず、得点につながる重要局面でスプリントしている。ホームの鹿島戦で決めた2ゴールは典型例で、ストライカーさながらの“嗅覚”だった。まさに秀才。頭も良くないと鉄人にはなれない。
個人的にはJリーグ最高のウイングバックは柏好文だと、ずっと思ってきた。ベンチスタートになると自らの主張が揺らぎかける時もあるのだが、いざピッチに立てば、やはり戦況に応じた的確なプレーを披露するから舌を巻く。三協フロンテア柏スタジアムで広島の18番を目で追っていたら、サッカーの奥深さをまたひとつ教えてもらったような気がした。
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