母国で華麗なる復活を果たしたのが、韓国代表で10番を背負った経験もあるMFイ・スンウだ。

　現在24歳のイ・スンウは、バルセロナのカンテラ（下部組織）時代は、“韓国のメッシ”と持て囃されるなど、将来を嘱望された。だが、バルサを退団して加入したヴェローナでは本領を発揮できず、キャリアが停滞していく。

　2019年夏に移籍したシント＝トロイデンでは、鈴木優磨（現・鹿島）や林大地、原大智（現アラベス）らとの競争に勝てず、ポルティモネンセに半年間レンタルされた期間も含めて鳴かず飛ばず。昨年11月に契約解除となって母国に帰還し、22年より水原FCでプレーしている。

　燻っていた逸材は、その水原で鮮やかに復活。今季はここまで15試合に出場して９ゴール・２アシストをマークしている。だが、国内組中心で臨む東アジアE-１選手権（７月19日より日本で開催）を戦う韓国代表には選出されなかった。なぜなのか。

　韓国メディア『InterFootball』は７月12日、「パウロ・ベント監督がイ・スンウを選出しなかった理由」と題した記事を掲載。「ファンの注目を集めたイ・スンウの代表復帰はならなかった。E-１選手権のメンバーが発表される前、多くの人はイ・スンウがベント監督の招集を受けるという見方だった。Kリーグ入りした後、急速にパフォーマンスを上げたイ・スンウは自分の価値を完全に証明しているからだ」と綴り、こう続けている。

「だが、ベント監督の目にイ・スンウは物足りなく見えたようだ。なぜ招集しなかったのかは、定かではないが守備力と体力だと推測される」

【動画】韓国で華麗に復活！イ・スンウが決めた衝撃のボレー弾

　記事は、今回選ばれた攻撃陣は、指揮官が求めるハイプレスに適応できる守備力があると指摘。「イ・スンウは明らかにプロデビュー後最高のパフォーマンスを見せているが、弱点と指摘されていた守備力と体力は完全には改善できなかった。これまでイ・スンウの短所が大きく目立ってこなかったのは水原FCの配慮のおかげだった」とし、次のように説明している。

「水原のキム・ドギュン監督は、体力的に100％仕上がっていないイ・スンウを、毎回前半20分前後に投入してコントロールしている。また、その長所を最大化できる戦術を使っている。守備時は、イ・スンウの負担を軽減しようと主にサイドではなく最前線に配置させる。間違った見方を実力で証明するという選手自身の努力もあったが、チームレベルの手助けがあり、再び飛躍することができたのだ」

　同メディアは、４か月しか結果を残していない選手のために、代表チームが戦術を変えるのは不可能だとしつつ、こう嘆いている。

「それでも残念な点はある。イ・スンウは交代カードとしても十分に効力を発揮する。スタジアムの雰囲気を変えて、チームが得点の必要な時に何かをしてくれる選手として、彼ほど良いパフォーマンスを見せる選手はいないといってもいい」

　いずれにしても、E-１選手権でアピールするチャンスを逃した“コリアン・メッシ”は、２大会連続のワールドカップ出場が厳しくなってきた。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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