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鎌田大地という異能をどう生かすか。ブラジル戦で見たい強国相手への答え【編集長コラム】

カテゴリ:日本代表

本田健介(サッカーダイジェスト)

2022年06月03日

原口らとともにアピール

パラグアイ戦で改めてアピールした鎌田。攻撃に変化を加えた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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 カタール・ワールドカップに向けて4つの強化試合が組まれている“6月シリーズ”。その初戦、パラグアイ戦に森保ジャパンは4-1で快勝を収めた。

 指揮官は宣言していた通り、様々なテストを実施。初招集の伊藤洋輝をいきなり左SBで先発させ、後半はCBへスライド。後半には代表ではCBが主戦場だった板倉滉をアンカーで試している。さらに4-3-3のインサイドハーフには原口元気と、昨年11月以来となる代表復帰の鎌田大地を先発させ、攻撃に変化を加えた。

 逆三角形で構成する中盤は元々、アンカーに遠藤航、インサイドハーフに田中碧、守田英正が入る形が鉄板とされてきた。しかし、パラグアイ戦に向けては守田が別メニューで調整を続けている状態。そのため中盤をどう構成するのか、本来トップ下が得意な鎌田を生かすためには、チーム発足から愛用した4-2-3-1を選択するのではないかという見方もあった。

 しかし、指揮官が選んだのは4-3-3のままでインサイドハーフに鎌田と原口を試す形であった。

 所属するウニオン・ベルリンではメインシステムこそ3-5-2だが、逆三角形の中盤でインサイドハーフを務める原口元気は、以前からこのポジションへの自信を強めていた。

「システムは少し異なりますが、1シーズン、プレーしてきた自信はありますからね」

 ワールドカップへ向けてこうも語っていた。

「このままベンチに座りながら大会を迎えたいなんて考えていません。誰がなんと言おうとポジションを奪い返したいです」

 パラグアイ戦ではその強い決意を示すかのような、いぶし銀のパフォーマンス。巧みなポジション取りでボールに絡み、2アシストをマークしたのだ。これまで多くの経験をしてきたからこそ、31歳になった今、「自分の全盛期がこれからくる予感がしている」という言葉にも期待を寄せたくなる。

 

原口もインサイドハーフとして存在感。有言実行のパフォーマンスだった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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 一方、原口以上にインパクトを残したのがフランクフルトでヨーロッパリーグを制し、注目度を増していた鎌田大地だ。序盤こそ、リズムに乗れずにいた印象だが、前半終了間際に堂安律のクロスを頭で合わせてネットを揺らすと、勢いが増した。

 後半はフラフラと中間ポジションに立ちながら、ボールを引き出すと、舞うようなステップで相手をいなし、華麗なパスで味方を生かす。

 時間が経つにつれ、パラグアイの強度が落ち、間延びした展開になったこともこの男の背中を大きく押した。61分に原口に代わって田中碧が投入されると、後半頭から遠藤に代わってピッチに立った板倉とその田中に後方を任せつつ、本人は得意とするトップ下のようなポジションでさらに華やかさを増したのだ。

 その才能はやはり異質であり、チームにとって大きな武器になることを改めて証明してみせた。

 ただ前述したようにこの試合は、パラグアイの守備の強度が低かったこともあり、ワールドカップ本大会に向けては参考にしにくい。それこそ、グループリーグで対戦するドイツ、スペイン(もう一か国は大陸間プレーオフの勝者。コスタリカかニュージーランド)とのゲームではボールが持たれる時間が長くなるはず。そうした状況で鎌田の才能をどう生かすか。森保監督に課された大きなポイントである。

 その意味でも6月6日に控えるブラジル戦で鎌田がどんなパフォーマンスを見せるのか、そして彼をチームとしてどう活用するのか、大事な試金石になるはずだ。

 本人もパラグアイ戦後に手応えを訊かれ「もっと強いチームとやらないと分からない」と話す。異能をどうチーム力に還元して強国に立ち向かうのか。パラグアイ戦でもキレキレだった三笘薫、気合十分で大いにアピールした堂安律、大迫勇也の不在でスピードタイプが多いCF陣、そしてブラジル戦では満を持して先発するであろう伊東純也、南野拓実らとの連係を含めて大いに楽しみである。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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