【手倉森ジャパン期待の新戦力】鎌田大地――貪欲な怪物ルーキーの正体とは?

カテゴリ:Jリーグ

増山直樹(サッカーダイジェスト)

2015年08月18日

自然と24番に目が行くほど“異質さ”は際立っている。

守備面で課題を残すものの、優れた攻撃性能を備える鎌田。第2ステージ7節の山形戦では、先制弾となる今季3ゴール目をゲット。エリア内での落ち着き払ったコントロールから、コースを突いたシュートでネットを揺らした。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 来年のリオデジャネイロ五輪を目指すU-22日本代表は、8月23日から26日の4日間、京都で代表候補トレーニングキャンプを実施。発表されたメンバーには、鳥栖の鎌田大地の名が連ねられていた。
 
 今季、東山高から加入した高卒ルーキーは、もはや鳥栖にとってなくてはならない存在に上り詰めようとしている。そして、手倉森ジャパンに初招集――。
 
 上質なボールスキル以上に際立つのは、言動の節々から伝わる貪欲さ。そこにこそ、将来の日本を背負うべき怪物ルーキーの凄みを見た。
 
――◆――◆――
 
「海外を見れば、同年代で世界的に活躍している選手もいる。1年目から試合に出ないとダメ」
 
 今季にプロ入りするやいなや、そう言い放った鎌田大地が、有言実行のプレーで周囲の度肝を抜いている。開幕前の練習試合でゴールを奪うなど、ブレイクの兆しはあった。それでも、多くの関係者から絶賛される現状は正直予想を超えるものだ。
 
 リーグデビュー戦は鮮烈そのものだった。第1ステージ11節・松本戦で72分からピッチに立つと、ボランチの位置から違いを作り出す。81分には鋭いスルーパスを豊田へ送り、決定機を演出。そして、ハイライトは90分に訪れた。相手のクリアボールを右足ダイレクトで叩き、プロ初ゴール。見事な一発で、チームを敗戦から救ってみせた。
 
 続く12節・名古屋戦ではプロ初アシストを記録し、17節・広島戦でリーグ戦初先発を飾った。これまでのリーグ戦13試合で、3得点・3アシスト(8月18日時点)。8月5日に19歳になったばかりの怪物ルーキーは、鳥栖になくてはならない存在にまで上り詰めようとしている。
 
 背筋を伸ばした姿勢から繰り出すドリブル、一瞬の隙を見逃さないスルーパス……。鎌田の魅力は攻撃面に集約されるだろう。ボランチからCFまでこなす器用さを持つが、ストロングポイントはゴール前でこそ発揮される。ボールスキルに長けたプレースタイルは、運動量と球際の激しさをカラーとする鳥栖で明らかに一線を画す。ベアスタで試合を眺めれば、自然と24番に目が行くほど“異質さ”は際立っている。
 
 ただ、攻撃性能が高い半面、守備に課題を残すのも事実だ。
 
 前線からのプレスが半ば義務付けられた鳥栖において、寄せの甘い場面が少なくない。スタメン出場が多い最近は、試合終盤でスタミナ切れに陥ってもいる。戦うために、足りないものがある。だが、「だからこそ鳥栖に来た」と鎌田は豪語した。
 
「鳥栖には、自分の課題であるハードワークの姿勢がある。自分が成長するには一番の場所」
 
 そう言い切る姿には、年齢にそぐわぬ凄みがあった。そして、なによりもその貪欲さが、自身を成長に導くのだ。
 
 第2ステージ・5節の鹿島戦。連戦の疲れからか、この日の鎌田は動きが重く、決定的な働きができなかった。良い位置でボールが受けられず、シュートはゼロ。終盤は身体に力が入らないのか、サイドチェンジを蹴り損ねるシーンも散見された。
 
 敗戦後のミックスゾーンには、不服そうな表情の鎌田がいた。
 
「結果を残さないと話にならない」
 
 その主張はシンプルだ。
 
「攻撃も守備もやらなきゃいけませんが、あのポジションは得点を取ってナンボ。システムが変わろうが、攻撃の選手には変わりがないんで」
 
 トップ下を主戦場とする鎌田だが、鳥栖では第2ステージ4節から3-4-2-1を採用しており、シャドーでの出場がメインになっている。「守備の時にはサイドハーフのような感じ」(鎌田)と役割が多少変わるなか、一切の言い訳をこぼさない。
 
 この試合では結果こそ残せなかったが、ボールを受けて反転して相手を置き去りにするなど、持ち前の技術は随所で見せていた。それでも、鎌田は納得しない。
 
「あれ(ボールを受けてからの動き)も必要だと思う。ただ、相手を抜くのもかわすのも大事ですけど、こだわりたいのは一発で前を向く形。パスを受ける前にギャップに入れれば、そのまま2枚剥がせる。そこが自分の良いところだと思うし、もっとやらなきゃいけません」
 
 ひたすらに前だけを見つめる鎌田は、いずれ鳥栖を、そして日本を背負って立つMFになるかもしれない。

取材・文:増山直樹(サッカーダイジェスト編集部)
 
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