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J1デビューの古川陽介が見せた大器の片鱗。魅惑のドリブルに観衆がどよめいたワンシーン【磐田】

カテゴリ:Jリーグ

志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

2022年04月02日

キレキレのキックフェイントで相手を翻弄

柏戦でJ1デビューを果たした古川。得意のドリブルで相手を翻弄した。写真:徳原隆元

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 豪華絢爛のプレーに観衆がどよめいた。

 アウェーの柏戦(●0-2)、66分から途中出場した古川陽介は、左ウイングバックに入った。すると、すぐに左サイドを駆け上がって浮き球のスルーパスを呼び込み、足に吸い付くような柔らかいトラップで収める。持ち直してから得意のドリブルを仕掛け、鋭い切り替えしからのクロスでCKを獲得した。

 さらに68分にはスローインからボールを受けて、キレキレのキックフェイントで相手を翻弄。そこからのクロスはつながらなかったが、魅惑のドリブルに磐田のサポーター席側から歓声が上がったワンシーンで、大器の片鱗を見せつけた。

 また86分には大森晃太郎が左サイド深いエリアに走り込むと、古川はスっと中央に走ってパスを呼び込む。そのままカットインして右足を振り抜いた。シュートこそ当たり損ねたが、本人も「クロスやシュートに持ち込めた場面があったので、そこはポジティブに捉えています」と振り返る。
 
 もっとも、75分の大南拓磨への守備は甘く、ディフェンスの強度や味方とのプレスの連動など課題は残った。また、83分のドリブルは相手に防がれ、そこからカウンターを食らいピンチをまねいている。古川も自ら反省していた。

「課題は守備やボールを持っていない時の動き、運動量。まだまだプロの基準には達していないです。オフ・ザ・ボールで相手の裏を取る動きを増やせば、試合に絡んでいけると思うのでしっかり出していきたいです」

 J1デビューを果たしたとはいえ本人も言うとおりまだ課題はあるので、サイドハーフのポジションがない3-4-2-1のシステムだとなおさら、使いどころが難しいドリブラーではあるだろう。しかし、随所に披露した相手の間を“縫うような”ドリブルや、懐の深い切り返しができるのは、チームにとって稀少価値が高いアタッカーでもある。

 勝利が求められるプロの世界では貴重な才能が潰されてしまうケースも少なくない。ただ、伊藤彰監督ならきっと、前所属の甲府で長谷川元希ら多くの若手を覚醒に導いた実績もあるので、いずれ古川を存分に生かす最適解を導き出すと信じたい。

取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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