敵の間でボールを受けてマークを混乱させ、さらには先制点を奪う活躍ぶり。

抜群のポジション取りで相手に守備の的を絞らせず、巧みな飛び出しで先制点を奪取。藤川(6番)の鋭い動きが随所に光った。写真:徳原隆元

後半には三宅海斗(11番)が追加点を奪う。東福岡が連覇へ向けて快調な勝ち上がりを見せている。写真:徳原隆元
前回インターハイ王者の東福岡と、昨年度の選手権ベスト4の日大藤沢の注目対決は、2-1で東福岡に軍配が上がった。
この試合のMVPを決めるとするならば、東福岡の2年生MF藤川虎太朗だ。その理由は、彼が貴重な先制ゴールを決めたからだけではない。70分間を通して、日大藤沢にとって脅威となり続けたからである。
伝統的な4-3-3を敷くチームにおいて、彼に与えられたポジションは2シャドーの一角。よりゴールに近い位置で、質の高いワンタッチパスや効果的なドリブル、そして裏への抜け出しなどで、攻撃のリズムを生み出す彼は、この試合においても抜群のポジショニングと精度の高いプレーを見せた。
「この暑いなかで相手の足を止めるのは、ワンタッチプレーを増やすこと。これを相手の嫌な場所で続けることで、必ず隙が生まれる。その隙を狙っていた」(藤川)
常に日大藤沢のダブルボランチの間、ボランチとCBの間、CBとSBの間にポジションを取り続け、マークを混乱させると、前半24分の先制ゴールは狙い通りのプレーだった。
東福岡CFの毎熊晟矢にボールが入ると、すぐさま藤川は毎熊を追い越し、毎熊の後方からオーバーラップしてきた右SBの小田逸稀にパスが渡った瞬間に、最終ラインの間に潜り込み、「小田がドリブルをして毎熊さんとワンツーで来るか、そのまま小田がアーリーで来るか、両方に対応できるようにポジションを取った」(藤川)。
小田の判断は裏のスペースへのアーリーパス。このパスが出ると同時に、オフサイドラインを搔い潜って裏へと抜け出した藤川は、完全にフリーとなって間合いを詰めてきたGKの位置をよく見ながら、ワンタッチでコースを変えてゴールに流し込んだ。
「相手が自分に対してイライラしているのが分かった。常にひとつのパスコースではなく、複数の選択肢を作り出せるポジション取りを考えています」と語ったように、藤川はそれ以降も嫌なポジションに立ち続け、相手の守備のリズムを奪った。
「相手の6番(藤川)の動きを、チームとして捕まえきれなかった」(日大藤沢・佐藤輝勝監督)
日大藤沢は攻守において間違いなく全国トップレベルの力を有していた。CB小野寺健也、左SBの西尾隼秀、ボランチの福屋凌平、MF蛭田悠弥、FW住吉ジェラニレショーンと、選手権ベスト4メンバーを揃え、今大会絶好調のFW矢後佳也と個の能力は高い。
だからこそ、ハイレベルな相手を混乱させた藤川の能力の高さ、その存在感の大きさがどれほどであるかを窺い知ることができる。
2連覇を目指す『赤い彗星』に現われた『クレバースター』・藤川虎太朗。これからの成長をいっそう期待させてくれるタレントが今まさに台頭している。
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)
この試合のMVPを決めるとするならば、東福岡の2年生MF藤川虎太朗だ。その理由は、彼が貴重な先制ゴールを決めたからだけではない。70分間を通して、日大藤沢にとって脅威となり続けたからである。
伝統的な4-3-3を敷くチームにおいて、彼に与えられたポジションは2シャドーの一角。よりゴールに近い位置で、質の高いワンタッチパスや効果的なドリブル、そして裏への抜け出しなどで、攻撃のリズムを生み出す彼は、この試合においても抜群のポジショニングと精度の高いプレーを見せた。
「この暑いなかで相手の足を止めるのは、ワンタッチプレーを増やすこと。これを相手の嫌な場所で続けることで、必ず隙が生まれる。その隙を狙っていた」(藤川)
常に日大藤沢のダブルボランチの間、ボランチとCBの間、CBとSBの間にポジションを取り続け、マークを混乱させると、前半24分の先制ゴールは狙い通りのプレーだった。
東福岡CFの毎熊晟矢にボールが入ると、すぐさま藤川は毎熊を追い越し、毎熊の後方からオーバーラップしてきた右SBの小田逸稀にパスが渡った瞬間に、最終ラインの間に潜り込み、「小田がドリブルをして毎熊さんとワンツーで来るか、そのまま小田がアーリーで来るか、両方に対応できるようにポジションを取った」(藤川)。
小田の判断は裏のスペースへのアーリーパス。このパスが出ると同時に、オフサイドラインを搔い潜って裏へと抜け出した藤川は、完全にフリーとなって間合いを詰めてきたGKの位置をよく見ながら、ワンタッチでコースを変えてゴールに流し込んだ。
「相手が自分に対してイライラしているのが分かった。常にひとつのパスコースではなく、複数の選択肢を作り出せるポジション取りを考えています」と語ったように、藤川はそれ以降も嫌なポジションに立ち続け、相手の守備のリズムを奪った。
「相手の6番(藤川)の動きを、チームとして捕まえきれなかった」(日大藤沢・佐藤輝勝監督)
日大藤沢は攻守において間違いなく全国トップレベルの力を有していた。CB小野寺健也、左SBの西尾隼秀、ボランチの福屋凌平、MF蛭田悠弥、FW住吉ジェラニレショーンと、選手権ベスト4メンバーを揃え、今大会絶好調のFW矢後佳也と個の能力は高い。
だからこそ、ハイレベルな相手を混乱させた藤川の能力の高さ、その存在感の大きさがどれほどであるかを窺い知ることができる。
2連覇を目指す『赤い彗星』に現われた『クレバースター』・藤川虎太朗。これからの成長をいっそう期待させてくれるタレントが今まさに台頭している。
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)