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全てのピースが噛み合っているマドリーと、有望な若手がいるが発展途上のバルサ。両チームの現状を比較【現地発コラム】

カテゴリ:連載・コラム

エル・パイス紙

2022年01月24日

双方とも伝統に忠実であり続けているのは信じ難いことだ

スーペルコパ準決勝では、マドリーに軍配が上がった。(C)Getty Images

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 レアル・マドリーは勝利を目指す際に詫びを入れることは決してない。サウジアラビアで開催されたスーペルコパ・でもそうだった。ゴールをスペクタクルなものにする個の力とリードを守り切り、救世主的なカウンターの機会を伺う集団的成熟度を兼ね備える。もともと自尊心が強いため、勝利を正当化する必要がないのだ。

 一方のバルセロナは、監督のシャビが現役時代に展開していたそのままのサッカーを志向している。問題は、その中心的な役割を果たしていた当人抜きでプレーしていることだ。現状では、脇目もふらずにキノコを探し続けるようにスタイルへの価値ある忠誠心を示しても、指揮官の頭の中にあるアイデアを結果に結びつけるには至っていない。

 その点、マドリーは何でもありだ。途中でロレックスの腕時計を見つけたら、そのままポケットに入れ、その後も何事もなかったかのようにキノコを探し続ける。

 グローバス化がサッカーの均一化を加速させ、ビジネスが選手たちを搾取し、テクノロジーがプレーを侵略する中でも、双方とも伝統に忠実であり続けているのは信じ難いことだ。そしてそれこそがクラシコで、マドリーが勝利に満足し、バルサが敗北を悲しまなかった理由でもある。

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 今回のクラシコはホワイトボード上で試合が繰り広げられているような時間帯が長く続いた。起こるべくして起こることが通り一遍のお役所仕事のように起こっていた。唯一の例外が両チームのウイングがプレーするゾーンで、そこには2人の若者が試合に揺さぶりをかけ、観客の目の保養になっていた。

 片やヴィニシウスは、ペナルティエリア、ゴール、得点と目的地をはっきり見据えてバイクで突っ走っていた。方や魔法のホウキに乗ったウスマンヌ・デンベレは途中で行くべき場所を忘れてしまったかのように行き当たりばったりながらも、底なしの才能で眩惑していた。ヴィニシウスは魅力的で、デンベレは愉快ですらある。しかしスタッツに目を向けると、我々がデンベレが身につけることを待ち望んでいる破壊的な具体性をヴィニシウスはすでにプレーのバリエーションに取り込んでいる。

 このウイング同士のバトルをチームに持ち込んでも、同じような結論に達する。ヴィニシウスはゴールを決めた後、ユニホームのエスクードにキスし、「ここが僕の場所だ」とアピールする。対するデンベレは、自分の居場所がどこにあるのか代理人と議論を交わしている真っ只中だ。

 マドリーはすでにチームとして完成し、開幕以来、手にしているポジティブな結果とキリアン・エムバペ効果も相まってその前途には明るい未来が広がっている。確かに不動の主力の中にはすでにピークを迎えている選手が少なくないが、全てのピースがうまく噛み合っている印象を受ける。

 翻ってバルサはまだまだ発展途上のチームだ。有望な若手が揃っているが、本格化するには時間が解決してくれるのを待つしかない。加えて事態を難しくしているのは、“歴史的緊急性”に常に追われているクラブにおいて長い目で見守るという概念が存在しないことだ。

 もっとも、シャビにはこのモンスターの内情を誰よりも知っている強みがある。その意味でも、クラブが掲げている野心的な目標に合致した指揮者と言える。まずは率いるオーケストラの特徴を把握することが急務だ。

文●ホルヘ・バルダーノ
翻訳:下村正幸

【著者プロフィール】
ホルヘ・バルダーノ/1955年10月4日、アルゼンチンのロス・パレハス生まれ。現役時代はストライカーとして活躍し、73年にニューウェルズでプロデビューを飾ると、75年にアラベスへ移籍。79~84年までプレーしたサラゴサでの活躍が認められ、84年にはレアル・マドリーへ入団。87年に現役を引退するまでプレーし、ラ・リーガ制覇とUEFAカップ優勝を2度ずつ成し遂げた。75年にデビューを飾ったアルゼンチン代表では、2度のW杯(82年と86年)に出場し、86年のメキシコ大会では優勝に貢献。現役引退後は、テネリフェ、マドリー、バレンシアの監督を歴任。その後はマドリーのSDや副会長を務めた。現在は、『エル・パイス』紙でコラムを執筆しているほか、解説者としても人気を博している。

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙に掲載されたバルダーノ氏のコラムを翻訳配信しています。

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