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“敗軍の将”がチームに居座るケースが多いJリーグ。欧州では例外的だ【小宮良之の日本サッカー兵法書】

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2022年01月11日

楽しみなのは特記すべきキャリアの持ち主を招聘した鹿島

リーガ1年の久保を指導したモレーノは降格で自ら職を辞した。(C)Getty Images

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 プロサッカーは、結果が問われる世界である。

 集団のリーダーである監督は、その十字架を背負う。だからこそ特権が与えられるし、欧州や南米では「ミスター」の敬称で呼ばれる。勝負を託された人物だ。

 にもかかわらず、敗軍の将がそのままチームに居座るというケースが、日本は多すぎる。優勝を義務付けられたクラブ、残留を目標にしたクラブ、あるいはサッカーの質を突き詰めながら上位を目指したクラブ、それぞれの結果の設定はあるだろう。しかし、それを果たせなかったにもかかわらず、次のシーズンもクラブに居残る。そこに歪みが生じるのは当然だ。

「いい人だし」
「時間がなかった」
「有名」

 そんな理由で結果を出せなかった監督がチームに居座るのだとしたら、何よりも選手が気の毒である。

 例えば降格したチームを率いた監督は、たとえシーズン途中の就任であっても責任を取るべきだし、取らされるべきだろう。集団を統率することができなかったからこそ、その結果になった。選手が未熟なのだとしても、選手を未熟のままにした責任が重い。

 クラブの強化は、この点を再考すべきだ。
 
 言うまでもないが、結果はすべてではない。降格チームであっても、サッカーの質を高めている場合もあるだろう。あるいは、以前に当該チームを昇格させ、サッカースタイルを作り上げていた場合、評価する余地は残すべきかもしれない。

「●●監督のおかげで成長できている」

 選手の言葉も貴重だ。

 しかしそうであっても、降格した監督のままで新シーズンに挑むなど、欧州では例外的と言えるだろう。

 正当な競争が欠けた環境では、Jリーグの監督が勝負に弱くなるのは必然と言える。代表監督の人材が枯渇しつつあるのも、自明の理だろう。昨今はコロナ禍も影響しているのか、Jリーグ内で監督をシャッフルしている印象だ。

 その点、鹿島アントラーズのスイス人新監督レネ・ヴァイラーはどう転ぶにしても、楽しみな人材と言える。スイス国内での実績だけでなく、ドイツ、ベルギー、エジプトでも結果を出している。2016-17シーズンにベルギー・リーグで優勝し、19-20シーズンにエジプト・リーグで優勝するなど、「昔の名将」ではない。特記すべきキャリアの持ち主だ。

 一つ言えるのは、監督自身も矜持を見せるべきということだろう。

 例えば、スペインのビセンテ・モレーノ監督はマジョルカを2シーズン連続で3部から1部へ昇格させていた。2019-20シーズンに2部に転落させるも、過去の仕事の評価で引き続き指揮を取る選択肢もあった。

 しかし、自ら職を辞し、同じく2部に降格したエスパニョールからのオファーを受け、100万ユーロ(約1億2千万円)で鞍替え。移籍金を残し、新天地エスパニョールを率い、見事に1部へ昇格させたのだ。

 これぞ、監督の生き方と言える。

文●小宮良之

【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。







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