[高校選手権３回戦]高川学園１-０仙台育英／１月２日（日）／等々力陸上競技場

　高校サッカー選手権３回戦、高川学園と仙台育英の一戦は、終了間際まで０-０のままもつれたが、アディショナルタイムにセットプレーから高川学園MF西澤和哉(３年)が得点し、０-１で敗れた仙台育英の選手権は終わった。

　仙台育英のキャプテンを務めるMF島野怜(３年)は、昨年12月10日のプレミアリーグプレーオフ前橋育英戦での右足首捻挫の影響をこの日も全く感じさせず、中盤でのチャンスメイクだけでなく、積極的にゴールを狙っていった。

　前半19分、左サイドからのアーリークロスに飛び込んでのヘディングシュート、同31分、ゴール前の混戦からのミドルシュート、後半18分、右サイドからのクロスに合わせたヘディングシュート。すべて枠内シュートだったが、３本とも高川学園のGK徳若碧都(３年)に阻まれてしまった。

　いずれも相手GKのファインセーブもあっての惜しいシュートではあったが、島野は「それが自分の実力だと思います。全国大会、０-０の状況で決めきれないのが今の実力です。もっと実力をつけて、技術や細かいところの質を見直したいです」と、自分にベクトルを向け、一切言い訳はしなかった。

　チーム全体としても、滝川二との２回戦で12本ものシュートを放ったFW佐藤遼(３年)がシュート０本に抑え込まれ、いくつかの決定機を決めきれなかった。「チャンスはこちらのほうが多かったなかで０得点。最後の質が足りなかったのが原因です。それがあればこのゲームは勝っていました」と、島野はフィニッシュでのわずかな精度を欠いたことを悔やんだ。

　城福敬監督も同じ敗因を挙げていて、「全体通してのゲームプランは悪くなかったですが、精度を上げないと試合をものにできないと身を持って体感したと思います」と振り返る。
 

　島野をはじめ、佐藤、MF明石海月(３年)、MF松本銀士(３年)、DF大塚俊輝(３年)など、１年生から選手権の舞台を経験してきた世代が最高学年となり、今大会は選手権決勝進出、優勝を目標としてきたが、ベスト16で幕は下ろされた。「３年間のちょっとした隙が、今日の試合に出たと思います。日常の姿勢や過ごし方という部分が、全国の舞台で重要になると学びました」と語る島野。あと一歩で決定機を決めきれない、最後の最後で守備の集中が切れて失点という経験から、この３年間の日常を思い返し、さまざまな反省が頭をよぎったようだ。

　今後は関東の大学に進学し、プロを目指す島野。「点を決めるボランチになるという目標を掲げたなか、チームを勝たせる存在になるためにも大学で頑張りたい」と意気込む。日常から良い取り組みを積み重ね、プロサッカー選手という夢にたどり着けるよう、この日、感じた悔しさを忘れず、成長してほしい。

取材・文●小林健志（フリーライター）

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