「タレント力」収支は久しぶりの黒字。
日本で唯一の週刊サッカー専門誌、『週刊サッカーダイジェスト』の編集部が、2014シーズンのJ1を見通す。
ワールドカップイヤーの2014年は、はたしてどんなシーズンになるのか――。
週刊サッカーダイジェストの谷沢直也編集長が、J1全体を展望する。
――◆――◆――
2010年南アフリカ・ワールドカップで日本代表がベスト16に進出して以降、毎年のように続いていたタレントの流出は、ひとまず沈静化したようだ。今冬もさまざまな選手に欧州進出の噂が出たものの、実際に移籍した主力クラスは大迫勇也(鹿島→1860ミュンヘン)のみ。逆に昨夏の宇佐美貴史(ホッフェンハイム→G大阪)、大前元紀(デュッセルドルフ→清水)らの帰還とその後の活躍に触発されたのか、家長昭博(マジョルカ→大宮)、李忠成(サウサンプトン→浦和)、高木善朗(ユトレヒト→清水)と働き盛りの選手のJリーグ復帰が急増した。
さらに今季の特徴と言えるのが、海外から実績のある外国籍選手を獲得するケースが増えた点だ。近年は各クラブが戦力面と金銭面の両方のリスクを恐れ、Jリーグ内で活躍する助っ人を狙う傾向が強かったが、今冬の移籍マーケットではC大阪が海外クラブと競合するなかでフォルラン獲得に動いたのをはじめ、FC東京が元シャルケのFWエドゥーを、柏が潤沢な資金を誇るカタールのアル・サッドからレアンドロを引き抜くなど、積極的な投資が光った。
このように、今冬のJ1全体の「タレント力」収支は明らかな黒字。これが近年にないほどの、優勝予想の”混戦”を生む要因のひとつとなっている。
補強によって戦力アップが見込まれる優勝候補は、広島、浦和、柏、C大阪の4チームだろう。いずれも昨季の主力をベースにしながら、的確に弱点を補った。
2連覇中の王者・広島は、GK西川周作を浦和に奪われながら、水面下で近年の仙台の躍進を支えた林卓人の獲得交渉を進め、守護神離脱の穴を埋めた。さらに甲府から柏好文、徳島から柴﨑晃誠と層の薄かったポジションに実力者を迎え入れるなど、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)との過密日程にも耐え得る戦力を手にしており、リーグ3連覇へ視界は良好だ。
広島から日本代表GK西川を迎え入れた浦和は、他にも前線にサウサンプトンから李忠成を、ボランチに昨季前半戦の大宮の躍進を支えた青木拓矢を補強。ペトロヴィッチ体制3年目、主力クラスの流出が皆無のなかで着実にセンターラインを強化し、顔ぶれだけを見ればリーグトップクラスの選手層を誇る。昨季終盤の失速を生んだ守備面の脆さを克服できれば、開幕から上位を走るだろう。
柏も2011年の優勝メンバーを軸にしながら、前述したレアンドロを獲得。レアンドロ・ドミンゲス、工藤壮人と組む前線のトライアングルはリーグ屈指の破壊力を秘めている。3バックと4バックの使い分けなど、6年目の指揮を執る策士・ネルシーニョの戦術も浸透しており、昨季悩まされたACLとの過密日程がないことを考えても確実に上位争いに絡んできそうだ。
ワールドカップイヤーの2014年は、はたしてどんなシーズンになるのか――。
週刊サッカーダイジェストの谷沢直也編集長が、J1全体を展望する。
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2010年南アフリカ・ワールドカップで日本代表がベスト16に進出して以降、毎年のように続いていたタレントの流出は、ひとまず沈静化したようだ。今冬もさまざまな選手に欧州進出の噂が出たものの、実際に移籍した主力クラスは大迫勇也(鹿島→1860ミュンヘン)のみ。逆に昨夏の宇佐美貴史(ホッフェンハイム→G大阪)、大前元紀(デュッセルドルフ→清水)らの帰還とその後の活躍に触発されたのか、家長昭博(マジョルカ→大宮)、李忠成(サウサンプトン→浦和)、高木善朗(ユトレヒト→清水)と働き盛りの選手のJリーグ復帰が急増した。
さらに今季の特徴と言えるのが、海外から実績のある外国籍選手を獲得するケースが増えた点だ。近年は各クラブが戦力面と金銭面の両方のリスクを恐れ、Jリーグ内で活躍する助っ人を狙う傾向が強かったが、今冬の移籍マーケットではC大阪が海外クラブと競合するなかでフォルラン獲得に動いたのをはじめ、FC東京が元シャルケのFWエドゥーを、柏が潤沢な資金を誇るカタールのアル・サッドからレアンドロを引き抜くなど、積極的な投資が光った。
このように、今冬のJ1全体の「タレント力」収支は明らかな黒字。これが近年にないほどの、優勝予想の”混戦”を生む要因のひとつとなっている。
補強によって戦力アップが見込まれる優勝候補は、広島、浦和、柏、C大阪の4チームだろう。いずれも昨季の主力をベースにしながら、的確に弱点を補った。
2連覇中の王者・広島は、GK西川周作を浦和に奪われながら、水面下で近年の仙台の躍進を支えた林卓人の獲得交渉を進め、守護神離脱の穴を埋めた。さらに甲府から柏好文、徳島から柴﨑晃誠と層の薄かったポジションに実力者を迎え入れるなど、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)との過密日程にも耐え得る戦力を手にしており、リーグ3連覇へ視界は良好だ。
広島から日本代表GK西川を迎え入れた浦和は、他にも前線にサウサンプトンから李忠成を、ボランチに昨季前半戦の大宮の躍進を支えた青木拓矢を補強。ペトロヴィッチ体制3年目、主力クラスの流出が皆無のなかで着実にセンターラインを強化し、顔ぶれだけを見ればリーグトップクラスの選手層を誇る。昨季終盤の失速を生んだ守備面の脆さを克服できれば、開幕から上位を走るだろう。
柏も2011年の優勝メンバーを軸にしながら、前述したレアンドロを獲得。レアンドロ・ドミンゲス、工藤壮人と組む前線のトライアングルはリーグ屈指の破壊力を秘めている。3バックと4バックの使い分けなど、6年目の指揮を執る策士・ネルシーニョの戦術も浸透しており、昨季悩まされたACLとの過密日程がないことを考えても確実に上位争いに絡んできそうだ。