【EURO2016】「タレント」以外には何もなかったスペインが喫した必然の敗北

カテゴリ:国際大会

熊崎敬

2016年06月28日

中盤の力で黄金時代を謳歌し、中盤の衰えにより終焉を迎える。

過去のイタリア戦では輝いたイニエスタが、存在感をあまり示せないまま、敗北の瞬間を迎えた。スペインはひとつの時代の終焉を迎えるのか……。 写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 史上初となる3連覇の夢は、イタリアに打ち砕かれた。
 
 グループステージ3戦目でのクロアチア戦に続く敗戦。これは、黄金時代の終焉を告げる敗戦になるかもしれない……。
 
 2008年のEURO初制覇に始まり、10年にワールドカップ初制覇、12年にEURO連覇と、スペインが10年近く勝ち続けてこられたのは、中盤の傑出した力があったからだ。
 
 だが、イニエスタ、セスク、シルバもベテランとなり、大会4試合目となるイタリア戦では、動きに軽快さを欠いた。
 
 イタリアが強気でラインを押し上げたことにより、中盤のスペースは消され、滑らかにパスを繋ぐスペイン本来のプレーは陰を潜めた。特に前半、イニエスタは後方でパスを捌くだけ。これでは、スペインのリズムにならない。
 
 疲弊とイタリアの厳しい対応によって、中盤の力は抑え込まれた。こうなると、スペインの良さは半減する。デル・ボスケ監督はFWを修正することで巻き返しを図ったが、苦境を打破するバルセロナの「MSN」のようなストライカーがいるわけではない。
 
 終盤は押しに押したものの追いつくことはできず、逆に一発のカウンターで首を刎ねられることになった。
 
 スペインとイタリア、タレント性では間違いなく前者に分があるだろう。それは、イタリアの選手たちも認めていることだ。
 
 イタリアにはタレントがないかもしれないが、軍隊のような戦術的規律とリスクを負って敵の背後を突こうとする豪胆さがあった。
 
 スペインにはタレントはあるが、他には何もなかった。イニエスタの失速とともに、チームの勢いは萎んでいった。
 
 それは、自分たちのサッカーで勝ち続けた強者が迎えた、必然の敗北だった。
 
現地取材・文:熊崎 敬

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