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“追われる立場”で正念場のSTVVにあって、存在感をグッと高める日本代表GK。大一番に敗れるも地元メディアはチーム最高の採点7をつけた【現地発】

カテゴリ:海外日本人

中田徹

2025年12月15日

「セットプレーからの失点はゲームを台無しにしてしまう」

STVVの躍進を支える小久保。数多のスーパーセーブでチームに勝点3をもたらしてきた。(C)STVV

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 2位シント=トロイデン(STVV)をホームに迎え撃つ4位アンデルレヒト。12月13日、アストリット・パルク(ブリュッセル)で行なわれた注目の“トッパー(上位対決)”は、アンデルレヒトが2対1で勝利して2位に浮上し、STVVは暫定3位となった。

 後藤啓介のPKでSTVVが先制し、アンデルレヒトがFKとCKからゴールを決めてひっくり返したこの一戦。セットプレーが両者の明暗を分けた一面もあるが、試合の流れは終始アンデルレヒトのもの。試合後は両チームから「アンデルレヒトの勝利は妥当なものだった」という声が聞こえてきた。

 STVVの強みのひとつである“中盤のトライアングル”を、アンデルレヒトがしっかり封じた。アタッキングゾーンで威力を発揮する伊藤涼太郎&山本理仁のホットラインは、17歳の大型MFナタン・デ・カットとカナダの新鋭、ネイザン・サリバによって消され、パスミスが目立つ結果になった。

「用意してきたことができなかった」とSTVVのDF谷口彰悟主将は言った。その“用意してきたこと”とは?

「ビルドアップのところですね。ゴールキックからのビルドアップも、用意してきたことがなかなかできなかった。相手が対応してきたところの“次”ができないというか。そこがこのチームがまだ未熟なところ。絶対に空いているところはあるんですが、そこを見つけ切れない。そこは、もっと成長しないといけない」

 一方的に押されていたなか、STVVは25分、FWムジャが敵陣深い位置でボールを奪い切り、そこからしばらくアンデルレヒトを押し込んだが、このとき続いたSTVVの時間帯はわずか3分。あまりに短かった。

「自分たちが主導権を握れなかった。ボールを持っているときもそう。ボールが無いときもそう。終始、相手のペースだったというのが反省点。自分たちがどう試合を展開したいのか。ボールを落ち着かせたいのなら、しっかり持てばいい。しかし、何かプレッシャーを感じていたのか。ここ(名門アンデルレヒトのスタジアム)の雰囲気もそう。何か圧を感じている、そういうシーンが目立った。イージーなロストが多かったし。落ち着いて、もう少し周りを見て、味方を見つけることができると、もうちょっと違った展開になったなと思います」
 
 STVVの先制ゴールは53分。69分と71分、トルガン・アザールの蹴った悪魔のセットピースからサリバ、ニルソン・アングロにゴールを奪われるまで、STVVは後半、被シュート0だった。

「セットプレーからの失点はゲームを台無しにしてしまう。そこの厳しさはもう一度、チームとしてやっていかないと、ズルズル行っちゃうこともある。今までセットプレーから失点することはあまりなかった。これを教訓に、みんなで締めていかないといけない」

 GK小久保玲央ブライアンは試合後、「セットプレーから2失点する、もったいない試合だった。90分間通じて自分たちのプレーができなかった」と振り返った。

 2失点を喫したが、それでも小久保は7本のセーブを記録したり、敵味方がひしめき合うゴール前で存在感を発揮したり、こぼれ球に対して果敢に飛び込んでいってピンチを防いだり、まずまずのパフォーマンスを披露。全国紙『ヘット・ニーウスブラット』ではチーム最高の採点7が付いた。

――「自分たちのプレーができてなかった」というときこそGKの見せどころ。セットプレーからの2失点は残念でしたが、個人としてはかなり良いパフォーマンスだったのでは?

「自分的にもいいプレーができたと思います。そこはポジティブに捉えていいのかな、と思いつつも、もうちょっと詰めていかないといけない。失点シーンのところは、自分がリーダーとなって、声がけやマークの付き方などを(味方に指示ができたはず)。セットプレーからの失点というのは、せっかく積み上げてきたことが壊されてしまう。まだ映像は見てませんが、しっかり見直して来週からの練習で採り入れていきたい」
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