「雪中サッカー」の真実。旭川実業高校の独自指導、志の高い“北海道スタイル”とは?

カテゴリ:高校・ユース・その他

龍フェルケル

2017年02月17日

「北海道スタイル」の確立が日本サッカーのためにも。

旭川東高校の選手たち。体育館を使える時間が短く、グラウンドでの練習がメインとなる。写真:龍フェルケル

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雪に覆われた旭川東高校のグラウンド。旭川実業は同じくこの決して恵まれたとは言えない環境で、北海道スタイルの確立を目指す。写真:龍フェルケル

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 初めて日本の部活サッカーを取材して分かったことのひとつが、選手たちが雪の種類と同じぐらい違うということ。ふわふわと落ちる雪もあれば、頬を引っかく雪もある。ちなみに、旭川実業は2016年度の全国高校サッカー選手権に出場するなど道内屈指の強豪校となったが、選手のスカウトにはいわゆる地域性が色濃く反映されている。
 
「選手のスカウトについては、今やっていることを全て伝えるだけです。本当にただ良い選手でもいいですけど、逆に下手な選手でも気持ちがあり、ウチに合っているなと思えばそれを伝えるし、そういう子を誘っているという部分もあります。例えばウチは、どうしても体育館の練習が多くなるので、足下のボールワーク的なトレーニングに他よりも時間を割いています。だから、サイズはあるから足下でこういうプレーをしようとか、こことこことがやれるようになればもっとスピードを活かせるよとか、そういった話はしています。入る前にこういう環境で自分がどう伸びていくかを、具体的にイメージしてもらいたいんです」
 
 富居監督が描く未来図は、いわゆる“北海道スタイル”の確立だという。各都道府県が独自のスタイルを作り、その融合が日本サッカーを強くする。皆が右へ倣えのサッカーでは強くなれないから。
 
「『個』のストロングポイントをどう植え付けていくかというところを、もっと育成年代で考えなければいけないかなと。上に行く選手はストロングポイントをみんな持っていて、それが日本代表レベルなのか、世界レベルなのかって話だと思うんです。その『個』がある選手が最近はすごく少なくなっている感じがします」
 
 志向するスタイルを以前の堅守速攻から、個が肝となるポゼッション中心に変えたのも、まさにそれゆえだ。
 
 旭川実業の北海道スタイルが全国を席巻し、日本サッカーに革命が起きる可能性は決してゼロではない――。今回の取材を通じて僕はそう思った。
 
取材・文:龍フェルケル
 
【プロフィール】
Ryu Voelkel(龍フェルケル)/ベルリン在住のフリーランス・カメラマン。ドイツと日本のハーフ。日本で生まれ育ち、香港とアメリカで学生生活を送った後、イギリスへ移住。サラリーマンを経て写真家になる。現在はサッカーをはじめ各種スポーツ、ポートレートなどを撮影する。Twitterアカウントは「@toksuede」。
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