【仙台】カウンターに沈んだホームゲーム。『チャンス』と『リスク』のジレンマ

カテゴリ:Jリーグ

古田土恵介(サッカーダイジェスト)

2016年09月13日

「変えられるものにフォーカスしないといけない」(渡邉監督)

トレーニング通りに相手のプレスを無効化。だが、そのことがジレンマとなってチームに襲い掛かった。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 実は渡邉監督は、ジレンマがあったことを吐露している。45分を戦い終え、後半に入ると仙台の後ろでのボール回しを横浜が追いかけた。GK関健太郎は何度か大きく蹴り出さなければならなくなっている。
 
 そんななかでも、両CBがピッチ幅をワイドに使って広がり、ボランチが下りてくることでGKと四角形を形成。前線からのプレッシングをいなして無効化することに成功している。これが唇を噛む原因となった。
 
「後半のほうが横浜は前からプレッシャーをかけてきた。でも、それに対して『どうやって剥がそうか』というところはトレーニングをしていて、実際に兵藤慎剛や中町公祐を剥がせていた。
 
 ふたりを置いてけぼりにできたことで、チャンスとなっていた。でも、うちが攻撃をやり切れないからこそ、残っていたふたりにボールが渡って苦しむシーンが生まれてしまった。
 
 でも、そこを『リスクマネジメントだから』と気にし過ぎては、重心が後ろに掛かって攻撃に厚みがなくなってしまう。それをすると、『なんのために前を剥がしたのか』って話になる。
 
 今は攻撃にエネルギーを注げるように選手たちには促していて、そういう前向きな部分を自分としては拾ってあげたいと考えている」
 
 今までの“堅守”から、ひとつ殻を破ったスタイルへの成長。そして“賢攻”を目指すチームにあって、生みの苦しみとも言えるシチュエーションによって、惨敗ののちの惜敗は作り出されてしまった。
 
 もちろん、相手選手を剥がしたあとのことまで遂行できて、初めて「強い」という言葉が似あうのだ。敢えて苦言を呈するのならば、横浜戦は、そういった意味で「準備不足だった」と言わざるを得ないだろう。
 
 勝点を積み上げられない今節の結果を受けて、どんな選択肢を選ぶのか。原点回帰か、はたまた、痛みを伴う進化か――。「変えられるもの、我々の未来にフォーカスしないといけない」という渡邉監督の言葉には、今後のチームを左右するであろう重みがあった。
 
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)

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