ファーストタッチはシュートを意識したものだったが・・・。
0-1を1-1にした攻撃は自陣深く、加藤から河本へボールが渡る場面から始まる。ただ、得点に直結したプレーとなると、起点は金澤慎の数メートルの持ち上がりと見ていい。DFを釣り出して左SBの和田に簡単に叩くと、そのまま前線へフリーラン。磐田DFが引っ張られたため、そこに入り込んだ家長は余裕を持ってプレーを選択できる立場にあった。
ここで選んだのが、自身の右側で眼前に広大なスペースを手にした横谷へのパスだった。このシーンについて、横谷は試合後に語ってくれた。
「シュートを打とうというボールコントロールだった。でも、DF(森下)が寄せてきた時にパスコースが見えた。出した瞬間は少しパスが弱いかな、と思ったけど……。上手く決めてくれたし、自分がシュートしなくて良かった(笑)」
プレッシャーを掛けにきたのが、D・ムルジャを見ていたCBの森下だったのもきちんと把握している。「(残っていたのは左SBの中村と、金澤のケアをしていた大井健太郎で)ムルジャを離していたし、人はいたけどスペースはあった」
もちろん、常に最終ラインと駆け引きしていたストライカーの動き出しや、冷静にゴールへとシュートを流し込む技術は高評価されて然るべき。それでも、シュートモーションからパスへと切り替えた横谷のとっさの判断と正確なアシストをできる技術力があってこその同点劇と言える。
付け加えれば、この得点で既視感を覚えた大宮サポーターは少なくないはず。約6か月前、千葉と本拠地で戦ったJ2・34節の先制点は同じような形からだった。
泉澤から中に入ってきた横谷へとボールが渡り、ダイアゴナルでスペースへと飛び込んだD・ムルジャへ少し身体を捻りながら、右足でパス。もちろん横谷も「昨年の千葉戦と同じシーンだ、と思った」と、得点源との良いコンビネーションを覚えていた。
その後の攻勢で追加点を奪えなかったことは、大宮にとってJ1で戦ううえでの引き続きの課題となる。それでも、追い付いた事実をもって“追い付いただけの試合だった”で終わりそうにないのは、光明が差したと言っていい。
その鍵を握りそうなのが、「ムルジャへのラストパス精度が高かったとは言えず、納得できない」と話す背番号17の存在だ。
「得点に飢えている」横谷が、それでもラストパスを選択した意味は、想像以上に大きい。相手がD・ムルジャだったこと、以前と同じパターンで得点を奪ったことも、だ。
エゴを出しつつも、ピッチ上で感じたことをすぐに還元できる能力は、これからも得点やアシストを生み続けるはず。本調子とはいかないライバルの、N・ペチュニクも彼の躍動に感じ入るものがあるだろう。
中位以上の順位へ“挑む”ために欠かせないチーム内競争。切磋琢磨しつつ、横谷はより高みへと昇って行く。
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
ここで選んだのが、自身の右側で眼前に広大なスペースを手にした横谷へのパスだった。このシーンについて、横谷は試合後に語ってくれた。
「シュートを打とうというボールコントロールだった。でも、DF(森下)が寄せてきた時にパスコースが見えた。出した瞬間は少しパスが弱いかな、と思ったけど……。上手く決めてくれたし、自分がシュートしなくて良かった(笑)」
プレッシャーを掛けにきたのが、D・ムルジャを見ていたCBの森下だったのもきちんと把握している。「(残っていたのは左SBの中村と、金澤のケアをしていた大井健太郎で)ムルジャを離していたし、人はいたけどスペースはあった」
もちろん、常に最終ラインと駆け引きしていたストライカーの動き出しや、冷静にゴールへとシュートを流し込む技術は高評価されて然るべき。それでも、シュートモーションからパスへと切り替えた横谷のとっさの判断と正確なアシストをできる技術力があってこその同点劇と言える。
付け加えれば、この得点で既視感を覚えた大宮サポーターは少なくないはず。約6か月前、千葉と本拠地で戦ったJ2・34節の先制点は同じような形からだった。
泉澤から中に入ってきた横谷へとボールが渡り、ダイアゴナルでスペースへと飛び込んだD・ムルジャへ少し身体を捻りながら、右足でパス。もちろん横谷も「昨年の千葉戦と同じシーンだ、と思った」と、得点源との良いコンビネーションを覚えていた。
その後の攻勢で追加点を奪えなかったことは、大宮にとってJ1で戦ううえでの引き続きの課題となる。それでも、追い付いた事実をもって“追い付いただけの試合だった”で終わりそうにないのは、光明が差したと言っていい。
その鍵を握りそうなのが、「ムルジャへのラストパス精度が高かったとは言えず、納得できない」と話す背番号17の存在だ。
「得点に飢えている」横谷が、それでもラストパスを選択した意味は、想像以上に大きい。相手がD・ムルジャだったこと、以前と同じパターンで得点を奪ったことも、だ。
エゴを出しつつも、ピッチ上で感じたことをすぐに還元できる能力は、これからも得点やアシストを生み続けるはず。本調子とはいかないライバルの、N・ペチュニクも彼の躍動に感じ入るものがあるだろう。
中位以上の順位へ“挑む”ために欠かせないチーム内競争。切磋琢磨しつつ、横谷はより高みへと昇って行く。
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)