【FC東京】苦しい時こそ輝く「勝利の方程式」

カテゴリ:Jリーグ

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2015年05月03日

武藤が倒され、太田が蹴る。今やセットプレーこそが生命線に――。

車屋を退場に追い込み、ゴールにつながるFKを得た武藤。馬力あるドリブルとフィジカルを利したキープ力が目を見張った。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

画像を見る

 ひとつ目の勝因が攻撃的な守備なら、ふたつ目のそれは川崎の左SB・車屋の退場だろう。ペースを掴んだ後半のFC東京は、武藤のドリブルを頼りにカウンターを仕掛けていたが、その武藤が果敢な突破で車屋のファウルを誘ったのだ。
 
 車屋は前半にイエローカードをもらっていたにもかかわらず、安易にも“罠”に嵌って64分に二度目の警告。泣く泣くピッチを後にした。大久保が「退場がなければ、あと2、3点は取れた」と言うように、試合の潮目を変えるポイントになった。今回の多摩川クラシコは、両チームともに前節から中2日で臨んでいる。疲労を考えれば、FC東京があの時間帯に数的優位に立てたのはとてつもなく大きかったのだ。
 
 そして3つ目の勝因がセットプレーだ。52分に武藤がエリア内で空振り、65分、66分にはいずれも東が決定機逸と、流れのなかからゴールを奪えずにいたFC東京を救ったのは左SBの太田だった。
 
 71分に25メートル弾のFKを直接沈めると、87分には左CK付近のFKから武藤の決勝点をアシスト。7節の山形戦、8節の新潟戦に続き、またしても黄金の左足でゴールに絡んだ太田の働きについて、武藤も「太田選手の素晴らしいFKと自分へのアシストがなければ逆転できていなかった。彼がMVPだと思う」と賛辞を贈っていた。
 
 シーズン開幕直後は武藤の個人技でゴールをもぎ取っていた印象もあったFC東京が、今やセットプレーこそ生命線になりつつある。太田は言う。
 
「(セットプレーには)とことんこだわっています。1試合に1回は必ず決定機を作れているので、自信を持って蹴れています。とりあえずゼロに抑えるという守備的なスタンスでやっている以上、セットプレーは本当に重要。これからも大事にしていきたいです」
 
 忘れてはならないのが、潰れ役の存在だ。この川崎戦も、ふたつのゴールにつながるFKを獲得したのはいずれも武藤だった。加えて言えば、山形戦でも太田が直接叩き込んだFKを得たのは武藤だった。
 
 武藤が倒されても、太田がいる──。もはやこれが、FC東京の“勝利の方程式”(ゴールパターン)と言っても過言ではない。

取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)
 
【関連記事】
【J1採点&寸評】FC東京×川崎|太田のセットプレーから2発! FC東京が劇的な逆転勝利で単独2位に浮上する
【J1採点&寸評】1stステージ・9節|全9カードの出場選手&監督を現地取材記者が評価
【FC東京】スペクタクルは必要か?
【FC東京】シュートはわずか1本。それでも武藤が「ありがとう」と感謝される理由とは?
目下絶好調の武藤嘉紀 チェルシーが認めた22歳は「なにが凄いのか」 フィジカル的側面から解明する
【チェルシー番記者】が語る武藤 「クラブは“見込みのある有望株”と高評価」
【セルジオ越後の天国と地獄】田嶋氏のFIFA理事当選はグッドニュース。これを契機にアジアでのリーダーシップを取り戻したい

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 王国の誇りを胸に
    4月10日発売
    サッカー王国復活へ
    清水エスパルス
    3年ぶりのJ1で異彩を放つ
    オレンジ戦士たちの真髄
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 特別企画
    5月1日発売
    プレミアリーグ
    スター★100人物語
    絆、ルーツ、感動秘話など
    百人百通りのドラマがここに!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ