動きのお手本は岡崎慎司。「オフ・ザ・ボールの質」は着実に向上中。

今季、宇佐美は「1タッチ、2タッチでのゴール」を意識していると語る。この松本戦でも状況を的確に把握し、パトリックを経由して1タッチでゴールを決めた。 写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)
リーグ戦8試合を終えて、宇佐美が積み重ねたゴール数は「9」となった。開幕前から目標に掲げる得点王に向けて快走しているが、その背景には「確率を上げるポジショニング」の意識がある。つまり、宇佐美の言葉を借りれば「1タッチ、2タッチでゴールを積み重ねる」ということだ。
「今は良いポジショニングを取れている。パトにパスを出した後、(自分が)止まっていれば、ああいう展開にはならなかった。個人的にはこぼれ球を詰める感じでゴール前に走っていたけど、パトに選択肢を与えられた。確率を上げるポジショニングを取れれば、1タッチ、2タッチで簡単にゴールを重ねられるようになるし、それは今年のスタートから意識していて、それが実っている」
宇佐美は今、局面をひとりで打開するだけでなく、周りを上手く使いながら“効率的に”ゴールを積み重ねる術を習得している最中なのだ。換言すれば、「オフ・ザ・ボール」(ボールを持っていない時の動き)の質を高めようと意識している。思い起こせば、アルベルト・ザッケローニ前日本代表監督は、宇佐美を代表に招集した際、ウイークポイントの改善を促すためにこんなアドバイスを送った。
「岡崎(慎司)の動きをお手本にしろ」
ザッケローニ監督の言葉どおり、宇佐美は岡崎のような質の高いオフ・ザ・ボールの動きを身に付けつつある。長年、日本代表で分析の仕事をこなしてきた和田一郎氏が今季からG大阪のコーチに就任した影響も大きく、動きの「質」に対する意識は着実に変わってきた。
そうした努力の副産物だろう。「フィニッシュのところで慌てることがなくなった」という。そして、コメントにも自信が漲っている。
「自分のやるべきことをやれば、相手がどこであれ脅威になるのは分かっているし、そういうスタイルを身に付けていこうというのは、(長谷川)健太さんとも話しながらやっている。まだまだですけど、良いところは要所で見せられているんじゃないかと思う」