事態を急転させたのは、MFビセンテ・イボーラの負傷だ。シーズン序盤、攻守のバランサーとしてチームを支えてきた戦術のキーマンを失い、クラブは後釜探しに奔走することになった。
その際に足かせとなったのが、ファイナンシャル・フェアプレーの一環として各クラブの財政状態に応じて定められている年俸総額だ。上限を超えないためにはどこかで浮かせる必要があり、そこでターゲットとなったのがチーム内の序列が下がっていたタケだった。そしてその考えに至った背景には、一連の退団騒動もあった。
タケも年明け前にラ・リーガで3戦連続出番なしに終わり、自らの立場を理解した。もはやビジャレアルでは未来はないと考え、そんな中で舞い込んだのがヘタフェからのオファーだった。マドリーと周囲の人間にとってはまさに渡りに船であり、この時点でタケの決心は固まった。
ヘタフェとはスムーズに合意に達し、もちろんマドリーもすんなりとゴーサインを出した。ただイボーラの穴埋めとしてキャプーの獲得を決めているビジャレアルは無償で行かせるわけにはいかない。自分たちが夏に投じた資金の一部の回収を主張し、その攻防がここ数日続いている。
タケとヘタフェの意思の統一は図られており、遅かれ早かれ解決策が見出されることになるだろう。
文●ハビエル・マタ(アス紙ビジャレアル番)
翻訳●下村正幸