【日本代表│考察】「縦に早いサッカー」に、果たして本田と香川はフィットするか

カテゴリ:日本代表

五十嵐創(サッカーダイジェスト)

2015年03月28日

「なぜ戻したんだ」。指揮官のジェスチャーに込められたメッセージ。

代表デビューは飾ったが、初得点はお預けになった宇佐美。31日のウズベキスタン戦でのスタメン起用はあるか? (C)SOCCER DIGEST

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「決まりごとはそんなにないけど、縦への展開は意識付けられている。ペナルティエリアの脇にスペースができるから、そこを上手くつかって攻めていこうという狙い」と、永井は説明する。
 
 試合中にSBへサイドチェンジのパスが入ると、ハリルホジッチ監督はしきりにジェスチャーを交えて、その前方にいるウイングへの素早い縦パスを要求していた。
 
 ところがSBが横パスを選択すると、「なぜ戻したんだ」と両手を挙げて、ため息を漏らした。

 その選手にも分かるぐらい大袈裟に落胆のポーズを示したあたりからも、サイドチェンジからウイングに縦パスを入れるという攻撃は、ハリルホジッチ監督が目指すスタイルの鉄則のひとつとなっていきそうに感じられた。
 
 この点について岡崎は、「サイドに広げる」イメージがあると言う。さらに、「前(アギーレ体制)は、奪ったボールをすぐ真ん中へ入れることが多かった。でも、(サイドを使って)つないで真ん中に入れるのは別のリスクも高いので(ボール失いやすいなど)、そのへんはこれからどうやって行くか話しあうと思う」とも言っていた。
 
 以前の日本代表は、中盤でのパスによる連係から、岡崎、本田、あるいは香川にクサビを打ち込み、ボランチやSBが連動して崩していくスタイルを好んだ。

 本田や香川の特長を考えると、こうした崩しも有効ではあったが、一方で人数をかけて攻撃するため、ボールを奪われた際に、著しくバランスを崩して、カウンターであっけなく失点する場面が目に付いた。
 
 指揮官がそういった過去の反省点までもを踏まえているのかは分からない。
 
 ただ、そういった日本代表の失点を食らうパターンへの対策としては、サイドチェンジからの縦パスを活かした崩しは、非常に合理的な判断と言える。

 手数や人数をかけずに攻め切ることは可能で、必然的に守備のバランスは保たれ、不要な失点が減る可能性はある。
 
 問題はこれらの攻撃パターンが、日本代表にフィットするかどうかだ。
 
 本田や香川は縦への推進力よりも、周囲との連動性のなかでこそ生きるタイプである。ともに途中出場したチュニジア戦で出色のパフォーマンスを見せたが、相手の運動量が落ちて自由にプレーできた側面もあり、決してハリルホジッチ監督の戦術的意図を存分に表現できたというわけではない。
 
 指揮官も明言するとおり、次のウズベキスタン戦でも多くの“新顔”が起用されるだろう。
 
 選手を見極める現段階で、テストが最優先されるのも理解できる。一方で、ウズベキスタン戦は6月に始まるワールドカップ・アジア予選前の最後の公式戦でもある。
 
 欲を言えば、本田や香川ら従来の主力組をスタートから起用した“MAX値”も確認しておきたいところだ。
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