【浦和】阿部の一撃が示した"浦和スタイル"進化への道

カテゴリ:Jリーグ

塚越 始(サッカーダイジェスト)

2015年03月15日

「こうしたゴールが決まれば、チームは強くなっていける」

リーグ戦では昨年10月5日以来となるホームでの勝利。この1勝で勢いに乗れるか。 (C)徳原隆元

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 このゴールが、チームに与えた効果は非常に大きい。「キャプテンの意地の一撃でしたね」と、前半は左WB、後半は右WBでフル出場した宇賀神は振り返り、こう続ける。
 
「『走る』『我慢する』。そこがこの試合のポイントだった。そこをしっかり続けていき、あの意地の一撃を決めてくれた」
 
「走る」という浦和のスタイルを貫きつつ、しっかり「我慢する」。耐えて相手が疲れてきたところを突けば、必ず勝機は見出せるという成功体験を、湘南戦に続いて作れたわけだ。
 
 ちなみに先週のある日の居残り練習で、宇賀神は阿部に「最近、阿部ちゃんの凄いミドル見てないですね。そろそろじゃないですか」と話していたそうだ。「あの話をしていたから決まったんだと思いますよ」と、決勝ゴールの“舞台裏”を明かしてくれた。
 
 また、柏木は「誰が見ても分かる、文句なしのゴール。スーパーでしょ」と、主将の決勝弾を絶賛。さらに、「ちょうど全体的に疲れが出始めていた。その時間帯にこうしたゴールが決まれば、チームは強くなっていける」と語る。
 
 そしてなにより、阿部のゴールはそこに至るまでの過程も素晴らしかった。
 
 直前まで、彼は自陣のゴール前でビルドアップに顔を出していた(危うくボールを失いそうにもなった)。そこから一気に駆け上がって攻撃に加わり、あの強烈なミドルシュートを突き刺したのである。
 
 黒子にもなり、主役にもなる――。全員攻撃・全員守備をモットーに掲げる浦和を象徴する存在が決めた、まさに浦和らしいゴール。湘南、山形とハードワークを身上とするチームに対し、運動量で上回って勝利をものにしたのも大きい。
 
「縦パスを入れられるタイミングで、入れられていない。そこはシンプルにもっと出していっても良いかもしれない」(柏木)など、まだ攻撃時の連係などに課題を残してはいる。だがそれでも、武骨さが感じられる開幕2連勝。しぶとく勝利を手繰り寄せた“強引さ”はどこか新鮮であり、2015年版の浦和の強みになっていくような気配を感じさせた。
 
 もちろん、そうした「気配」が本物の力となり、Jリーグやアジアの強豪を相手にしても発揮できるかどうかは、このあとに続く17日のACL・北京国安戦、22日のリーグ3節・広島戦で改めて真価が問われる。
 
 リーグ戦で開幕2連勝と結果を残したチームは、アウェーでのACL・北京国安戦に向けて15日に日本を出発する。
 
「ひとつ勝たないと、次につながらない。やるだけです」
 
 殊勲の阿部はACLでの初勝利を誓った。

取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)
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