今回のオランダ遠征で最も注目されていたのが、久保と南野だったと思うんだけど、彼らは本当によく相手を追い回していたよ。とくに久保はかなり低い位置まで戻って守備をしていたから、なかなか彼の良さが出るシーンがなかった。たまに足もとでボールをもらうと、良いタッチを見せるけど、それだけ。守備に忙殺されて60分くらいでピッチを後にすることになった。

　伊東はきっちり守備もやったうえで、持ち前のスピードを活かして独力で前に出ていく推進力があったけど、ほかの２列目も久保と同じく、だいたい守備に追われて攻撃面での良さが出なかった。アタッカーにもあれだけ守備をやらせる戦い方をしたら、攻撃陣のタレントはその価値が薄れてしまうよ。クリスチアーノ・ロナウドにも久保ぐらいの守備を求めたら60分ももたないだろうし、そもそもユベントスやポルトガル代表は彼にそんなに守備に戻れとは言わない。それは彼の良さが何かを分かっているから。

　久保にそこまで守備の負担を求めなくちゃいけないのは、監督の采配力なのか、国としての選手層の厚さの違いなのか。今回の遠征では、後ろの吉田や冨安の盤石さがもてはやされているけど、その分、前のタレントが持ち味を出せなくなっているのをどう考えるかだね。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部