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【三浦泰年の情熱地泰】"エンターテインメント"ではなかったJ2の再開試合。僕が厳しい評価をする理由

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェストWeb編集部

2020年07月04日

「5人交代枠」「降格なし」「VAR見送り」はどう影響するか?

村井チェアマンは、今回のコロナ禍のスポーツ界において存在感を発揮。三浦氏はその判断の早さ、決断力を称賛する。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 リーグを見る立場としてもコロナにより変わったレギュレーションがどう影響するか?は注目のひとつでもある。

 交代が3人から5人へ――。

 監督にとってはプラスになる時とマイナスに働く時があるかもしれない。3度の交代の中で5人を変えることになると二枚替えが、どうチームの試合状況を変えることになるか?

 今までの3人交代に慣れているだけに手腕が試される。5人を使い切ることで二枚替えが増えて、采配が雑に見えがちだが、どうしても持って来ることができない流れを、一か八かで変えるためには思い切った策となる。この先も注目していきたい。

 そして最も大きな影響が出るのは降格なしであろう。

 これによってプレッシャーがなくなり、選手にとって、チームにとって、良いパフォーマンスに繋がるのか? それとも逆効果の凡戦、集中力のない試合が増えるのか?

 降格という緊張感が力以上のモノを引き出す事もあるし、選手がトレーニング通りに能力を発揮できない事もある。

 もちろんプロである限り、このような異常なプレッシャーの中でも力を発揮しなければいけないのだが、その残留争いで生まれる独特な雰囲気に入り込まないように一戦一戦を慎重に戦うという空気がなくなる事がどう影響するのであろうか?

 以前J2リーグが降格なしであった時、ギラヴァンツ北九州は1勝12分で、年間15ポイントしか取れなかったシーズンがあった。

 このような事が起きなければ良いのだが……。ただコロナにより、感染の波がどのようになるかによって、この先もまだまだ安心できない。まさに今年のリーグ戦は異例だ。

 Jリーグ村井チェアマンの早めの判断は、僕は素晴らしいと感じた。この判断に選手たちは期待に応えてほしい。

 もしコロナ感染がチーム内で起きたら、出てしまったチームだけではなく、対戦した相手チームも濃厚接触者として試合が出来なくなってしまったら……。

 第二波により、地域によってはまた緊急事態宣言や自粛要請が出てしまう可能性もあるだろう。リーグが途中で出来なくなる可能性もゼロとは言えない。

 今回、ヨーロッパでも途中で中止を決断した国もある。感染者が出てから決めるより、「降格なし・昇格のみ」という判断は選手のモチベーションをキープさせられる。

 もちろん厳しい事を言えば何があってもレギュレーションを変えないという美学や起きた時に考え、対応するという考え方もあるだろうが、クラブに対してのリスクマネージメントがこのメッセージ(判断)により成されたような気がする。

 この「降格なし」という判断が凡戦を増やさないよう願うしかない……。

 さらに、もうひとつVARが見送られたのも妥当な判断だったと思う。昨年、コパ・アメリカを現地で数試合、生観戦をしたが、導入へのプレーストレスは計り知れないと感じた。

 得点を喜んだ直後に取り消され、プレーを続けさせた後にオフサイド。VARチェックによりプレーを中断する時間が長く、選手は戸惑い気味。

 メンタルをコントロールするのも難しい。これは監督も選手も同じだ。

 世界が決めたのだから後々、導入しなければならないが、今回のコロナ対策のように全てが横に習うのではなく、日本独自のリーグでも良いような気もする。

 ひとつの持論になってしまうが、VAR導入はJ1のみでスタートさせたが、僕は逆のほうが良かったのではないかと思う。誤審を防ぐためであればJ3から始めるのが相応しい。(スタジアムや予算規模から難しいのは分かっているが……)

 主審、副審のスピード、動体視力、判断スピード、威厳、サッカーIQ、全てにおいて差は大き過ぎる。これをVARで改めていったら過去の優勝、昇格チームはほとんど変わるかもしれない。もちろん最高レベルのワールドカップも同じ事は言えるであろう。

 過去の名シーン。マラドーナのハンド、70年西ドイツ-イングランドのバーに当たった疑惑のシュート、2002年イタリア-韓国のクロス……。

 サッカーはVAR導入によって大きく変わる。

 それを考えると三密対策によって見送りになったJリーグは、最後の古き良きスタイルでのリーグになるであろう。

 J1再開直前。少し離れた位置から冷静に今の状況を観察していきたいと思う。

2020年7月3日
三浦泰年
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