ボルシアMG戦では確かに攻撃面は改善した
心構えと集中力を最大限に引き出すためには、どんなプレーをすべきというチームとしての狙いがはっきりしていることが何より大事になるはず。そして狙いを持った攻撃を構築するためには、ビルドアップから丁寧に持ち運んでいく局面が必要だ。
ただ、守備ラインから中盤を経由してFWへという流れだけではなく、サイドのスペースに流れたFWへロングパス、くさびに落ちてきたFWへの縦パスなど、ゲームコントロールをできる選手が必要不可欠になる。あるいは前がかりになりすぎないように、後ろでパスを回しながらリズムを作る仕事も大事だ。
それができる選手となると、今のフランクフルトに長谷部しかいない。
3バックへの回帰はあり得ない話ではない。ただ、3バックに変えたらすべてがうまくいくほど、今のフランクフルトが抱えている問題はシンプルなものでもない。
長谷部を起用すれば、きっとボール周りはスムーズになるし、より意図的な攻撃が可能になる。ただ、起用する場合には、守備時の強度を落とさないような布陣を作る必要がある。
ただ、守備ラインから中盤を経由してFWへという流れだけではなく、サイドのスペースに流れたFWへロングパス、くさびに落ちてきたFWへの縦パスなど、ゲームコントロールをできる選手が必要不可欠になる。あるいは前がかりになりすぎないように、後ろでパスを回しながらリズムを作る仕事も大事だ。
それができる選手となると、今のフランクフルトに長谷部しかいない。
3バックへの回帰はあり得ない話ではない。ただ、3バックに変えたらすべてがうまくいくほど、今のフランクフルトが抱えている問題はシンプルなものでもない。
長谷部を起用すれば、きっとボール周りはスムーズになるし、より意図的な攻撃が可能になる。ただ、起用する場合には、守備時の強度を落とさないような布陣を作る必要がある。
70分から途中出場したボルシアMG戦でも、何度か気になるシーンがあった。中盤で相手がボールを運んでくる際に長谷部が阻止しようと前に出ると、相手がそこからスルーパスを狙ったり、サイドに展開したりする。その後、パスを出した選手がさらに前へと抜けてくるのだが、長谷部は振り返ったまま一瞬足を止めてしまう。スペースを即座に埋める動きを連続してこなさないと、あっという間に危険なスペースに相手選手の侵入を許してしまう。
長谷部投入後に攻撃面は改善したが、守備面で問題が、となると根本的な問題解決にはならないのだ。チームとしての守備組織が整っているなかで、アンカー、あるいは3バックのセンターに長谷部がいれば、彼の持つ経験と戦術理解で周りの選手のサポート・カバーをハイレベルで行える。ただ、そうした機能性がない状態だと、起用が裏目に出てしまう恐れもある。
次節は現地時間5月23日、首位バイエルンと対戦する。難しい試合になるのは誰もがわかっている。そんななかでも活路を見出すために、最大限の準備と策で臨まなければならない。ヒュッター監督がどのように現在の問題をとらえ、どのようにアプローチするのか。采配、起用法を含め、監督の手腕に注目が集まる。
筆者プロフィール/中野吉之伴(なかのきちのすけ)
ドイツサッカー協会公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に「サッカー年代別トレーニングの教科書」「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」。WEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)を運営中