放送権料を高騰させたいFIFAにとっては電通以外のライバル代理店が必須に
だが、高騰を続けているワールドカップ放送権料は、今回の第二次世界大戦後初の世界的パンデミック(感染症の大流行)後、大恐慌時に匹敵すると予測もされる景気悪化が起きても、その価格を維持できるのだろうか。
2022年ワールドカップの放送権は、現時点で、ほぼ世界的に販売終了されており、日本では大手広告代理店の電通が持っている。今後、大幅な景気後退になれば、企業は広告宣伝費を縮小せざるを得なくなり、コマーシャルも打てなくなる。そんな中でテレビ局は高額な放送権を獲得できるのか。電通は現在の値段のままでは放送権をジャパン・コンソーシアムのNHK、民放各社に売ることができず、放送権を値下げして赤字で手放さざるを得なくなるかもしれない。一般的にいえば放送権料は、確実に下がっていくと思われる。
今回のコロナでの景気後退は、高騰していた放送権料が下がるきっかけになりそうにも見える。そのことだけに限れば、テレビ局としては悪いことではないはずだ。
だが、放送権に詳しいテレビ局関係者は、「そうはならないでしょう。大幅な景気悪化になってもワールドカップ放送権料は下がらないと思う。FIFAはさらに放送権料を上げたいと考えているようです」と話す。FIFAは放送権料を下げることを許さず、むしろ、上げる方策を打ってくる構えという。
しかし、日本のワールドカップ放送権交渉は電通とFIFAの間だけで行なわれてきたので、そのためには交渉する代理店を複数に増やすことが必要になる。日本の場合、電通の1社と交渉しなければならないので、それができていない。電通と競うライバルの代理店はFIFAにとって必須の存在になる。
2022年ワールドカップの放送権は、現時点で、ほぼ世界的に販売終了されており、日本では大手広告代理店の電通が持っている。今後、大幅な景気後退になれば、企業は広告宣伝費を縮小せざるを得なくなり、コマーシャルも打てなくなる。そんな中でテレビ局は高額な放送権を獲得できるのか。電通は現在の値段のままでは放送権をジャパン・コンソーシアムのNHK、民放各社に売ることができず、放送権を値下げして赤字で手放さざるを得なくなるかもしれない。一般的にいえば放送権料は、確実に下がっていくと思われる。
今回のコロナでの景気後退は、高騰していた放送権料が下がるきっかけになりそうにも見える。そのことだけに限れば、テレビ局としては悪いことではないはずだ。
だが、放送権に詳しいテレビ局関係者は、「そうはならないでしょう。大幅な景気悪化になってもワールドカップ放送権料は下がらないと思う。FIFAはさらに放送権料を上げたいと考えているようです」と話す。FIFAは放送権料を下げることを許さず、むしろ、上げる方策を打ってくる構えという。
しかし、日本のワールドカップ放送権交渉は電通とFIFAの間だけで行なわれてきたので、そのためには交渉する代理店を複数に増やすことが必要になる。日本の場合、電通の1社と交渉しなければならないので、それができていない。電通と競うライバルの代理店はFIFAにとって必須の存在になる。
「例えば、NBAの日本国内の放送権を持つ楽天は新たな放送権販売候補です。また、楽天とはライバル関係にあるソフトバンクなどもそうでしょう。新たな放送権獲得先が現われてくれれば、電通を含めて競わせることで放送権料を上げていくことができます。電通以外の販売先を探すことで、さらに放送権料を高騰させていく手を打ってくるはずです。FIFAのお金に対する執着には尋常じゃないところがありますからね」とテレビ局関係者は言う。
今後も、サッカーファンにとっては、ワールドカップの全試合を見るためには、有料放送で、ある程度の出費が必要になるのは避けられないようだ(数字は推定)。
取材・文●石田英恒(フリーライター)