【ザーゴ/この一枚】感情剥き出しの闘将、今は思慮深い指揮官に

カテゴリ:Jリーグ

徳原隆元

2020年05月05日

目指すスタイルの明確化と勝利に対する強い意志

水戸とのプレシーズンマッチの試合前の一コマ。ウインクで応じるなど、遊び心ある一面も垣間見えた。写真:徳原隆元

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 現役時代のザーゴはキャプテンや守備の要といった、チームにおいて重要な立場であったからか、ピッチでは血気盛んに喜怒の感情を剥き出しにしていた。相手に負けたくないから激しく戦う。相手に勝ったから喜ぶ。こうした高ぶる感情表現は、サッカーにおいて自分が他者より劣ることを極度に嫌うブラジル人の典型とも言える。

 しかし、年齢を重ねて選手から指揮官へと転身したザーゴには、選手時代とは違う印象を受けることになる。撮影取材した今季開幕前の宮崎キャンプでの練習試合や、水戸とのいばらきサッカーフェスティバルでは、感情を前面に出すような姿はほとんど見ることはなかった。

 水戸戦の試合前の練習中にカメラを向けると目が合ったので、こちらが笑顔でウインクをしたら、それに応えるように、ウインクを返してきた。遊び心ある一面さえ垣間見えた。試合でも派手なアクションや檄を飛ばすことなく、思慮深く采配を取っていた。

 チームを束ねる指揮官という立場になった近年は、ザーゴの感情表現にも変化があったのかもしれないが、現役時代に見せていた勝利への熱き思いを忘れたわけではないはずだ。きっと、胸の内に秘めているのだろう。
 
 鹿島のチーム編成を担う鈴木満取締役フットボールダイレクターは、「監督には(スタイルの)方向性をしっかりと示せる人物が必要」と考え、複数人の候補者からザーゴを選んだという。

 昨シーズンは“四冠獲得”のチャンスから一転して無冠に終わった鹿島。なにより勝負どころでことごとく敗れた終盤での失速には、鹿島らしさが消えていた。試合に勝っても、負けても、さすが鹿島と納得させる存在感がなかった。

“らしさ”を取り戻すために必要なことは、目指すスタイルの明確化と勝利に対する強い意志だ。新監督に託された最重要ミッションは、鹿島を本来の「常勝軍団」に戻すこと。現役時代に見せた熱き思いを胸に取り組む、その手腕に期待がかかる。

取材・文・写真●徳原隆元

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