元高校教師からJクラブの社長に転身!群馬の奈良知彦が打って出た「人生最後の大勝負」

カテゴリ:Jリーグ

伊藤寿学

2020年04月27日

「Jリーグクラブの財産は社員」

昨季は一時昇格レースから脱落仕掛けたが……。粘り強く戦い最終節でJ2復帰を決めた。(C)J.LEAGUE PHOTOS

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 元教員の奈良社長は「チャイム」「朝礼」「今日の言葉」など学校のしきたりを会社に取り入れて、経営改革を実践。奈良は「元商業高校の教員だったが、帳簿はまったく読めない。でもJリーグクラブの財産は社員。社員を成長させなければいけないという教育者の血が騒いだ」。会社の風通しは良くなり、それは地域の信頼回復につながった。

 J2復帰チャレンジの1年目となったJ3での18年シーズンは、5位に終わりJ2復帰を逃した。J3での2年目は、リーグからの救済金がなくなるなど大幅な予算削減を求められたなかで開幕を迎えたが、布監督との二人三脚によって昇格レースに食らいついていく。一時は負ければ終戦という状況にまで追い込まれたが、執念の戦いによって命をつなぐと、ついに昇格の可能性を残したまま最終節を迎える。

 最終節、敵地・福島ユナイテッドFC戦。2位の群馬は勝てば無条件で昇格を決められる。アウェーのスタンドを群馬サポーターが埋め尽くすシチュエーションで、選手たちは躍動。2-1で勝利を収めて、悲願のJ2復帰を成し遂げた。65歳の奈良社長は、布監督と抱擁を交わすと、選手たちの歓喜の輪に消えていった。

「この年齢になって、あのような大きな感動を味わえるとは思っていなかった。2年前に社長を引き受ける時は迷いもあったが、引き受けて本当に良かったと思った。サッカーに感謝です」
 
 2年でのJ2復帰を果たした群馬にとって、20年は新たなチャレンジの年となる。布監督が退任し松本山雅の監督になったため、群馬はかつて選手兼監督としてチームをJFL昇格に導いたクラブレジェンドの奥野僚右氏に指揮権を預けて、原点回帰でJ2の舞台へ挑む。

 Jリーグがコロナ禍によって中断している4月下旬、クラブは、前橋育英の山田監督が学校に籍を残したまま、群馬の会長に非常勤取締役として就任することを発表した。奈良社長の人生最後の大勝負は、多くの仲間を呼び寄せ、クラブの潮流を激変させた。

奈良社長の功績は、「乾坤一擲」という言葉とともにクラブ史に刻まれる。

取材・文●伊藤寿学(フリーライター)
 
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