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【番記者コラム】セレッソが変わった17年…“クルピ流”に異を唱えたユン・ジョンファン監督の信念

カテゴリ:Jリーグ

西海康平

2020年04月25日

徹底的に勝負にこだわる姿勢をもたらし、カップ戦2冠に導く

17年にはカップ戦2冠を達成。この年に5シーズンぶりに復帰した清武(中央)も躍動した。(C)SOCCER DIGEST

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 もちろんユン・ジョンファン監督も、魅力的なスタイルを構築したクルピ監督を十分にリスペクトしていたが、自分のやり方は変えなかった。前述の言葉どおり「勝つために何が必要か」を選手たちに訴えかけ、ハードワークや守備意識を植え付け、徹底的に勝負にこだわらせた。

 17年は開幕から3試合は0勝2分1敗と出遅れたが、徐々に戦術を落とし込んでいった。ボランチを主戦場としていた山村和也のFWとしての才能を開幕前から見抜き、コンバートに成功。リードを奪えば、後半途中からは山村をCBに下げて5バックで守り切る戦い方も一貫した。加えて、鳥栖時代の教え子である水沼宏太の復活、ストライカーとしての能力を開花させた杉本健勇らの活躍もあり、夏場にはチームはリーグ戦で首位にも立った。

 3年ぶりのJ1で3位フィニッシュ。そして、Jリーグ加盟後はそれまで無冠だったクラブは史上初めて頂点に辿り着く。控え組主体で勝ち上がってきたのがルヴァンカップ。ベストメンバーで臨んだ決勝は、開始早々に杉本が先制点を奪うと、その後は川崎に一方的に攻め込まれながら、最後はソウザの追加点もあり初優勝を飾った。
 
 18年元日の天皇杯決勝では横浜に先制されながらも追いつき、最後は延長戦の末に水沼のゴールで振り切った。過去、リーグ戦では2度に渡って最終節で優勝(ステージ優勝を含む)を逃し、天皇杯では決勝で3度も敗れた。最後の最後で何度もタイトルを逃してきたC大阪が2冠を獲得できたのは、徹底的に勝負にこだわる姿勢をユン・ジョンファン監督がもたらしたからだった。

 だが、就任1年目でいきなり結果を残した指揮官は、バージョンアップを図ることはできなかった。より主導権を握るスタイルに進化しようとした翌年、チームは6月のロシア・ワールドカップによる中断期間あたりまでは4位につけていたが、怪我人が多く出たこともあり夏場以降に失速。結果的に7位で終え、ACLやルヴァンカップ、天皇杯でも勝ち進むことはできなかった。

 18年シーズン限りでユン・ジョンファン監督は退任。19年からは、より戦術的な戦い方を嗜好するロティーナ監督が指揮を執り、昨季はJ1最少失点を記録した。ここ数年のC大阪は堅守をベースに戦い、確実に結果を残せるチームに変貌を遂げているが、現在の戦い方のベースを作ったのは他でもなくユン・ジョンファン監督だ。以前は調子の波が大きく“ジェットコースタークラブ”と言われたクラブに“耐える力”をもたらした韓国人指揮官の功績は大きい。

取材・文●西海康平(スポーツニッポン新聞社)

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