なぜガンバはマリノスを撃破できたのか。選手たちが明かした“スペシャル戦術”の全容

カテゴリ:Jリーグ

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2020年02月23日

「あれだけ回されて、どう保持し返すのか。そこが課題」

就任3年目。宮本監督は最後まで“攻めの采配”を貫いた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 とはいえ、前半20分過ぎから徐々に様相は変わっていた。横浜がバイタルエリアにボールを運ぶシーンが増え、G大阪は守→攻の切り替えがままならなくなっていたのだ。

 そこで28分、タッチライン際で会話を交わしたのが宮本監督と遠藤保仁だ。J1通算631試合目で史上最多記録に並んだアンカーが、ピッチ上の選手たちの意思を指揮官に伝える。ツネ監督はすぐさまヤットにゴーサインを送った。遠藤の両脇のスペースをマルコス・ジュニオールに蹂躙されていたため、井手口陽介を下げて2ボランチとし、矢島には横浜の2ボランチへのプレッシャーを強化させたのだ。布陣変更で戦い方を整理し直したチームは、34分に2点目を奪ってみせた。

 この日のG大阪スタメンには、A代表経験者が9人も名を連ねた。宇佐美貴史は「前からハメるのはやるけど、上手く行かなかったら前に来させてブロックを組むのもあり、とみんなで話してました」と語り、「失点を与えるまでやられる気配はなかったですよ。自分たちで中で話せて、自分たちで発信していけるのがいまのガンバの強み。ツネさんが求めていることでもあります」と、自信を覗かせた。

 終盤に1点を返され、最後はベタ引きでタイムアップまで耐え凌いだ。その時間帯でも宮本監督は「常にアグレッシブに戦うという姿勢を示したかった」と、3枚の交代カードはすべて攻撃のパーツ交換に費やした。最初から最後まで攻めの采配で、3ポイントを手繰り寄せたのだ。

 とはいえ、手放しで喜べる勝利でもない。倉田は「満足なんてできないし、これでいいという勝ちではない」と気を引き締め、宇佐美は「あれだけ回されて、どう保持し返すのか。そこが課題ですね。守り切ってばかりじゃ伸びしろもないし、個人的にもチームとしてもやりたくない」と言い切った。

 スペシャル戦術でJ1王者を撃破した浪速の雄。次節のベガルタ仙台戦(3月1日)ではどんな“顔”を見せてくれるのか。ヤットの新記録達成にどう華を添えるのか。上々の仕上がり具合であることは確かだ。

取材・文●川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

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