「日本一強いチームは流経、それを必ず証明する」
一方、前線にもプラスの変化があった。スーパーサブの福井崇志の覚醒だ。身体能力が高く、競り合いを厭わずにゴールを狙えるストライカーは、これまでメンタル面に問題があった。気の強さがマイナスに働いて集中力を欠くことがしばしば。本田監督も、「10分間だけは、すごい集中力を発揮するよ」と苦笑いしていた福井が覚醒したのは、夏の金沢遠征で膝を負傷してCチーム落ちを経験したことがきっかけだった。
「自分がいなくなってから、チームがどんどん良くなっていった。自分がそこに戻れるのか、不安があった」
危機感が芽生えた福井は、居残りで特訓を始める。繰り返したのは、利き足ではない右足でのシュート練習だった。
「あいつがあんなに自主練習をしていたのは、それまで見たことがなかった。変わっていった気がする」
特訓に付き合った儀保幸英も驚くほどの変貌ぶりだった。
こうしてトップチームに戻った福井は、文字通り勝負を決する違いとなった。千葉県予選の準々決勝から3試合連続で決勝点をマークしたのだ。決勝戦では35分に菅原俊平に代わってピッチに立ち、75分、相澤のクロスに合わせて全国への切符を手繰り寄せた。福井の覚醒なくして、県予選突破はなかっただろう。
流経大柏は、普段から「Bチームが強すぎて勝てない」(相澤)というほどの競争力があり、選手を入れ替えても個々のレベルが落ちない。そんな分厚い選手層が、最終ラインの入れ替えや福井のスーパーサブ起用を可能にした。
その一方で、9月に入れ替えたメンバーの連係は発展途上で、「まだ出来上がったチームではない」と本田監督も素直に認めている。とにかく層が厚いチームだ。負傷から戻ってくる選手、レギュラーを外されて捲土重来を期す選手もいる。全国大会までに、いま一度激しい選手選考の競争があるはずだ。
いずれにしても、千葉県代表の看板を4年ぶりに背負ったチームが目指すのはただひとつ。
「日本一強いチームは流経、それを必ず証明する」
小川はそう力強く宣言した。諦めの悪さを身につけた流経大柏が、全国の舞台で暴れ回る。
千葉県予選 決勝戦短評
流経大柏 3-2市立船橋
得点者/柏=小川×2、福井 船=古屋、磯野
互いにリスクを負わないタイトな出だしから、市立船橋が先手を奪った。14分、古屋のミドルが相手に当たってゴール。32分には右のアーリークロスにFW磯野がボレーで合わせて追加点を奪った。流経大柏はFW福井、MF相澤を投入し、サイドアタックの徹底で反撃。49分、CKの流れから小川のヘッドで1点を返してペースをつかむと、64分にPKで同点に追いつく。そして75分、相澤のアーリークロスに合わせたのは福井! 頂上決戦を大逆転で制し、4年ぶりの全国出場を決めた。
取材・文:平野貴也(フリーライター)
「自分がいなくなってから、チームがどんどん良くなっていった。自分がそこに戻れるのか、不安があった」
危機感が芽生えた福井は、居残りで特訓を始める。繰り返したのは、利き足ではない右足でのシュート練習だった。
「あいつがあんなに自主練習をしていたのは、それまで見たことがなかった。変わっていった気がする」
特訓に付き合った儀保幸英も驚くほどの変貌ぶりだった。
こうしてトップチームに戻った福井は、文字通り勝負を決する違いとなった。千葉県予選の準々決勝から3試合連続で決勝点をマークしたのだ。決勝戦では35分に菅原俊平に代わってピッチに立ち、75分、相澤のクロスに合わせて全国への切符を手繰り寄せた。福井の覚醒なくして、県予選突破はなかっただろう。
流経大柏は、普段から「Bチームが強すぎて勝てない」(相澤)というほどの競争力があり、選手を入れ替えても個々のレベルが落ちない。そんな分厚い選手層が、最終ラインの入れ替えや福井のスーパーサブ起用を可能にした。
その一方で、9月に入れ替えたメンバーの連係は発展途上で、「まだ出来上がったチームではない」と本田監督も素直に認めている。とにかく層が厚いチームだ。負傷から戻ってくる選手、レギュラーを外されて捲土重来を期す選手もいる。全国大会までに、いま一度激しい選手選考の競争があるはずだ。
いずれにしても、千葉県代表の看板を4年ぶりに背負ったチームが目指すのはただひとつ。
「日本一強いチームは流経、それを必ず証明する」
小川はそう力強く宣言した。諦めの悪さを身につけた流経大柏が、全国の舞台で暴れ回る。
千葉県予選 決勝戦短評
流経大柏 3-2市立船橋
得点者/柏=小川×2、福井 船=古屋、磯野
互いにリスクを負わないタイトな出だしから、市立船橋が先手を奪った。14分、古屋のミドルが相手に当たってゴール。32分には右のアーリークロスにFW磯野がボレーで合わせて追加点を奪った。流経大柏はFW福井、MF相澤を投入し、サイドアタックの徹底で反撃。49分、CKの流れから小川のヘッドで1点を返してペースをつかむと、64分にPKで同点に追いつく。そして75分、相澤のアーリークロスに合わせたのは福井! 頂上決戦を大逆転で制し、4年ぶりの全国出場を決めた。
取材・文:平野貴也(フリーライター)