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「VARの判定以上に致命傷だった」なでしこを激賞する仏有力紙記者が嘆いた、日本の最大の弱点【現地発】

カテゴリ:日本代表

ヴァンサン・デュリュック(フランス『L'Equipe』紙記者)

2019年07月06日

「センターバックのコンビを見つけるべきだ」

オランダ戦で、岩渕との素晴らしい連係を見せた長谷川。ふたりのクリエイティビティは目を引いた。 (C) Getty Images

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 猛攻にさらされた守備はどうかと言えば、所属クラブのリヨンで担当もしていないポジションに置かれたクマガイが、できる限りの努力をしていた。が、やはりスピード不足は否めず。ミッドフィールドに密度が欠如していたのを見る度に、私はクマガイをワンライン上げて起用した方が有益だったのでは、と首を傾げてしまった。

 何にせよ、日本は決勝トーナメント1回戦で敗退するには惜しすぎるチームだった。日本ほど多彩なバリエーションで攻撃構図を描けるチームは、数少ないからである。なでしこたちのプレーは、「現代版PK判定」の犠牲にならねばならないような低レベルではなく、もっといい結果に値していた。

 あれほどムーブメントをつくり、複数が示し合わせた走りを見せ――特にハセガワ(長谷川唯)とイワブチ(岩渕真奈)がそうであるように――クリエイティブな能力を備えたチームも稀だ。ハーフタイム直前に1-1の同点を実現したシーンで、岩渕が長谷川に出したラストパスは、今ワールドカップで最も美しい「作品」だったと思う。

 それでも次にはやはり、こう言わねばならない。「ゴール前での非効率が日本女性たちの致命傷になってしまった」と。そのせいで日本はこの大会を、無駄にしてしまったのだ。

 ただ、ひとつ言いたいのは、もし本当にアサコ・タカクラのメンバーチョイスがよくなかったとするならば、日本は本大会のファイナリストとなったオランダを相手に、決勝トーナメント1回戦であれほどまでには試合を支配できなかったことだろう。スギタ(杉田妃和)の活発な動きもあったし、数えきれないほどのチャンスもつくり、後半で巻き返していたのだから。

 なでしこたちは、来年に予定されている東京開催のオリンピックでは、今大会と同じような失敗は、避けねばならない。それと、別のセンターバック・コンビを見つけることから始めるべきだと思う。もっとスピードがあり、もっと安定したコンビを作ることだ。

 そして、敵が疲れてくるのを待ってからやっと自己表現を始めるような中盤ではなく、試合の立ち上がりから、猛烈なインテンシティーに応じられるミッドフィールドを構築するべきだ。

文●ヴァンサン・デュリック(フランス『L'Equipe』紙記者)
翻訳●結城麻里
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