９月26日にアジア大会の決勝トーナメント１回戦が行なわれ、パレスチナと対戦したU-21日本代表は４-０で勝利した。前後半に２点ずつを奪い、無失点と守備も機能していたね。ただ、パレスチナは勝って当然の相手だった。
 
　準々決勝の相手は、香港を３-０で下した開催国の韓国だ。締め切りの都合上、結果は分からないけど（※日本は０-１で韓国に敗れた）、韓国は大会規定のU-23代表＋オーバーエイジ３人のメンバー構成で、マインツのパク・チュホやホッフェンハイムのキム・ジンスといった欧州組も招集している。圧倒的なホームのサポーターの声援もあるし、国内組だけのU-21で挑んでいる日本が、苦戦を強いられるのは間違いないだろう。
 
　とはいえ、ここで負けているようでは話にならない。日本は前回大会で優勝している。つまり、ディフェンディングチャンピオンとして今大会に臨んでいるんだ。前々回のコラムでも言ったけど、ノルマは優勝。それ以外は後退だ。前回が優勝なら、連覇してこそ成長したと言えるからね。だからこそ僕は、U-21代表に金メダル獲得を要求しているんだ。
 
　もうひとつ、今大会のU-21代表に求めたいのは、選手の台頭だよ。この大会を通して個々が成長し、A代表へ新戦力を供給できれば、手倉森監督は大きな仕事をしたことになる。韓国戦はA代表のアギーレ監督も現地視察するようだし、選手にとってはアピールするチャンスだ。
 
　まあ、僕が見る限り、現時点でA代表の即戦力になるような選手はいないけど、この年代はきっかけを掴めば急激に伸びるものだ。アルビレックスの鈴木あたりは、試合を重ねるごとに自信をつけているのが伝わってくる。そうした意味でも、なんとかトーナメントを勝ち上がって１試合でも多く実戦経験を積みたいところだ。
 
　年代別代表で言えば、ミャンマーでのU-19アジア選手権に挑む日本代表のメンバーが発表されたね。この大会は、翌年のU-20ワールドカップ予選に当たり、日本は過去３大会連続で準々決勝敗退に終わっている。2008年と10年は韓国に敗れ、12年はイラクに辛酸を舐めさせられた。今回こそ、なんとしても鬼門を突破し、世界大会への切符を獲得しなければいけない。
 
　とはいえ、メンバーを見ると不安は拭えないね。A代表候補にも名を連ねた経験のあるセレッソの南野はいるものの、他を見渡すと所属クラブでレギュラーを獲得している選手はわずかだ。過去のU-19代表と比べて、小粒な印象は否めない。勝つためにベストメンバーを呼べたのか疑問符が付くよ。
 
　例えば、この年代にはドルトムントでプレーしている丸岡がいるよね。先日、ブンデスリーガデビューも果たした選手で、クロップ監督の評価も上々だという。彼を招集する努力はしたのかな。是が非でも予選を突破したいと考えるなら、有力選手を呼ぶのは当たり前。この大一番で丸岡招集の話が少しも出ないのでは、協会の本気度を疑いたくもなるよ。
 
　今大会は、グループリーグから厳しい相手との対戦が続くんだ。10月９日の初戦は中国だし、13日の最終戦はアジア最大のライバルである韓国。明らかな格下は第２戦のベトナムくらいで、ちょっと躓けばグループリーグ敗退だって考えられる。
 
　日本とすれば、初戦の中国戦で勝利が欲しいね。ここで勝点３が取れれば、後の戦いがグッと楽になる。初戦をものにしたうえで第２戦のベトナム戦をしっかり勝ち切れば、最終戦の韓国戦は消化試合だ。サブ組を試せるし、レギュラー組のスタミナを温存できる。長いトーナメントを戦い抜くという意味でも、初戦での勝利は不可欠なんだ。
 
　先日のU-16アジア選手権でU-16代表が準々決勝敗退し、世界への切符を取り逃したから、なおさらU-19代表にかかる期待は大きい。もし、U-19代表もアジアで敗退するようなことになれば、日本の育成を根底から見直す必要があるだろう。