香川の帰還は、ドルトムントのファンにとってこれ以上ないほど素敵なニュースだ。『シンジカガワ』の大合唱で、ジグナル・イドゥナ・パルクの南側スタンドがふたたび震動する日は、もうすぐだ。
 
　香川がユナイテッドでベンチを温めていたことも、それで自信を失いかけていることも、もちろん分かっている。それでも私は信じている。ユルゲン・クロップ監督の下で、彼がふたたび花を咲かせることを。私の脳裏には、いまなおはっきりと刻まれているのだ。ドルトムントのチームメイトたちとはピッチの外でも理解し合い、誰からも愛されていた香川のその姿が、だ。
 
　ドイツ代表として出場したスコットランド戦（９月７日）で足首を負傷したマルコ・ロイスが戦列を離脱したこともあり、香川を再獲得した判断は正しかったと、ドルトムント首脳はそう確信を深めている。
 
　なにしろ、1600万ユーロで売り渡し、その半額の800万ユーロ（約11億2000万円）で買い戻せたのだ。さらに、アジア市場への進出を目論む経営戦略においても、香川の存在意義は大きい。歯磨き粉のCMタレントのような白い歯を見せ、にっこり微笑むこの日本人よりも訴求力を持った選手はいないだろう。
 
　香川のドルトムント帰還は、関係するすべての人間にとって、幸運としか言いようがない！
 
文：ヨルク・ヴァイラー／ビルト紙のベテラン記者でドルトムント番。香川とクラブの交渉の場を唯一キャッチし、入団が決まった香川と握手する写真がビルトの紙面と電子版に掲載された。
翻訳：円賀貴子

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