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【Jコラム】前例のない磐田の抜擢人事。元日本代表コーチの大木武氏がユース監督を引き受けた理由

カテゴリ:Jリーグ

高橋伸子

2014年09月06日

「ユースの選手はプロより吸収が早いし、反応がピュア」

「ユースでもトップでも指導法は変わらない」と語る。「毎日が面白い」という充実した日々を物語る笑顔だ。

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 育成ではなく、プロ同様の高い意識と能力を求め、強化を図るという姿勢は、磐田の強化部が大木監督だからこそと期待するところでもある。
 
「トップでも豊富な経験を持つ監督に『強化』をしてほしいという思いがありました」と、尾畑正人強化本部管理部長は起用の意図を明かす。また、大木監督が志向するスタイルによって、もたらされるものも大きいと考えている。尾畑部長が続ける。
 
「大木監督のサッカーは、基本的に短いパスを確実につなぐ攻撃的なサッカ-。ブロックを作り、ショートカウンターを仕掛ける、ロングボールでDFの背後を狙う、というサッカーをするチームが多いなかで、それとは対極的です。ジュビロもかつてそういうサッカーを追求し、目指していました。そのなかで、判断力や技術、チームプレーなど基本的な力を鍛えることを望んでいます」
 
 大木監督も言う。
「私がやろうとしているサッカーは、どちらかというと長いパスより短いパスをつないでボールを前に運んでいくことが多い。一か八かではなく、確実性を高めるためで、フィニッシュも相手を外してシュートまで持っていきたいと思っています。パスの距離が短ければサポートがいるということなので、複数の選択肢の中からより良いパスの出しどころを選ぶ判断力と、密集の中でその判断を具現化するための技術が必要になります。そういうことを選手に求めてゲームを組み立てていきたい。また、パスもドリブルも必要なスポーツですが、究極の選択をするならパスだと、よく選手には言います。なぜなら11人でやるスポーツだから。味方のミスも10人でカバーして、全員で勝つチームが理想です」
 
 磐田ユースは、ここ2年連続でプリンスリーグ東海を制覇しているものの、プレミアリーグへの参入戦はいずれも敗退。かつて緻密なパスサッカーで黄金時代を築いたチームをDFとして支えた鈴木秀人前監督(現トップチームコーチ)の下で、充実した強化体制を整えたが及ばなかった。バトンを受けた大木監督の下で目指すのは、もちろんプレミア昇格だ。
 
「戦績は満足できるものではない」と大木監督は言うが、今シーズンの磐田ユースは、「良いサッカーをしている」と評されることが多い。
 
「なぜ良いゲームをしたいかというと、勝つために良いゲームをしたいんです。しかし、ただ勝てばいいとは思いません。自分たちがやるべきことに常に向かいながら勝つということです。良いサッカーかどうかは分かりませんし、なかなか思うようには勝てないですが、私は自分のやり方が一番勝利に近いと信じています。ちょっと僣越ですが、ジュビロは幸か不幸か僕を雇ってしまいましたので(笑)、私が責任を持って、思う通りにやらせてもらっています。ここで選手をしっかり強化すること、トップでも通用する選手にすることでクラブの役に立ちたい。そこに全力を注ぎたいと思っています」
 
 折り返し地点を過ぎたプリンスリーグ東海。9月1日現在、磐田ユースは3位。上位2チームが出場権を得られるプレミアリーグ参入戦は、射程圏内だ。「プロとの違いは実戦経験」と言う大木監督は、この夏、多くの練習試合を組んだ。
 
「ユースの選手は、プロより吸収が速いし、反応が、何というかピュアです。毎日やりがいがありますし、毎日が面白いですね」
 
取材・文:高橋伸子(フリーライター)
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