そんななか、「実力ほどに豊かな心…ファン・ウィジョ、セレモニーの代わりに日本の同僚を労った」としたのは、『スポーツ・ソウル』だ。同紙は試合終了後に歓喜した韓国イレブンの様子を伝えたうえで、「ファン・ウィジョだけは違った」と着目。「大きく興奮したり喜ぶことがなかった代わりに、日本ベンチに近寄りチームメイトであり後輩の初瀬亮を労った。(省略)。後輩が感じた敗北の痛みに配慮した行動だった。実力だけではなく、代表選手としての風格を感じられる場面だった」と評価した。
 
　その『スポーツ・ソウル』は、森保ジャパンについても詳しく言及している。「プライドと哲学を捨て実利を選んだ森保ジャパン…それでも韓国攻略できず」と題した記事を掲載した同紙は、「きめ細かいパスプレーが日本のトレードマーク」と紹介したあとで、「この日の試合では日本本来のカラーは見られなかった」と指摘。「哲学とプライドを捨てて“10バック”に近いサッカー」だったとした。記事のタイトルも、「プライドと哲学を捨て実利を選んだ森保ジャパン…それでも韓国攻略できず」と厳しかった。
 

　ただ、「日本のチームカラーに新しい挑戦を感じた」(『INTERFOOTBALL』)というメディアもある。同メディアは「“21歳以下+ロングボール”銀メダルでも収穫だった日本」と題した記事の中で、「日本は既存に好んできた短いパスを活用したポゼッションサッカーではない、線が太いサッカーで大会を消化。それでも決勝に進出する底力を見せた」と評価した。「韓国相手に良い試合を見せ、韓国を苦戦させた。シュート数では差があったが、時折見せた脅威的な逆襲は、韓国を緊張させるに十分だった」とし、「日本は今大会を意味ある挑戦として終えた」と評価した。
 
　いずれにしても、韓国にとっては会心の勝利となったアジア大会決勝での“日韓戦”。その盛り上がりはもうしばらく続きそうだ。
 
文●慎武宏（スポーツライター）

参照元：『スポーツ・ソウル』
「プライドと哲学を捨て実利を選んだ森保ジャパン…それでも韓国攻略できず」と韓国メディア