エリクセンにとって今大会は、８年前の苦い記憶を払拭する戦いでもある。
 
　10年南アフリカ大会ではスーパーサブとして出場。忘れられないのが、グループリーグ最終戦の日本戦だ。勝ったほうがベスト16に進む一大決戦で、デンマークは１－３で敗れ去った。エリクセンはその試合の63分にピッチへ投入されたが、期待されたパフォーマンスを示せなかったのだ。前回のブラジル大会は、欧州予選で敗退している。
 
　今年３月、デンマーク全国紙『Ritzau』の取材に応え、２度目のワールドカップへの意気込みをこう語っていた。
 
「南アフリカでは本当に悔しい想いをした。あの試合（日本戦）はいまでも忘れられない。いつか借りを返したい、ワールドカップで活躍して今度こそチームを勝利に導きたいと思ってプレーしてきた。ずっと心待ちにしていたんだ。持てる力のすべてを出し尽くして、デンマーク国民の想いに応えたい」
 
　今大会のグループリーグ最終節は、強豪フランスが相手だ。黒星を喫すれば、敗退の憂き目に遭う可能性が高い。南アフリカ大会から８年、名実ともにエースとなったプレーメーカーの真価が問われる。