ユースをお払い箱になってウィガンへ。

引退後はサッカー界から離れることを示唆していたベインズだが、あることがきっかけとなり、今はセカンドキャリアでもサッカーにその身を投じることを明かしている。 (C) Getty Images
そのキャリアは決して順風満帆ではなかっただけに、ベインズにとっても、トップレベルで達成した意義ある長寿記録だ。
到達した400試合にはウィガン時代の72試合が含まれるが、これは憧れの地元クラブであったエバートンをユース時代にお払い箱になっているからでもあった。その後、ウィガンに拾われた背景には、祖父の友人だったスカウトの存在があったことを、飾ることも奢ることもない本人が認めている。
2007年の8月にようやくエバートン入りの念願が叶ったかと思えば、当時の指揮官デイビッド・モイーズがセットプレーの守備時の高さ不足を懸念したため、移籍当初はCBが本職のジョレオン・レスコットに先発の座を奪われがちだった。
到達した400試合にはウィガン時代の72試合が含まれるが、これは憧れの地元クラブであったエバートンをユース時代にお払い箱になっているからでもあった。その後、ウィガンに拾われた背景には、祖父の友人だったスカウトの存在があったことを、飾ることも奢ることもない本人が認めている。
2007年の8月にようやくエバートン入りの念願が叶ったかと思えば、当時の指揮官デイビッド・モイーズがセットプレーの守備時の高さ不足を懸念したため、移籍当初はCBが本職のジョレオン・レスコットに先発の座を奪われがちだった。
それでも身長170cmのSBは、「他の選手のプレーを観察しながら、身体の寄せ方とか、相手にフリーでヘディングさせないあの手この手を学んだ」という絶え間ない努力で、2年目以降はモイーズからも一目置かれるレギュラーとなった。
個人的には、代表での遠征にギターを持参する選手として注目していた。
地元の名バンド、ビートルズの他に、ボブ・ディランやピンク・フロイドを好きなアーティストに挙げるプレミア選手はいまでは珍しい。昔から読書好きで、近年では写真への興味も明かしていたベインズは、一時期、引退後のキャリアをサッカー界の外で送ることを仄めかしていた。
しかし、3年前に手術を必要とした足首をはじめ、相次ぐ怪我による欠場が増えた30代になって、一番の情熱を傾けるサッカーへの思いがより強まったベインズは、今、コーチングライセンス取得の意思を公言してもいる。
これは、英国サッカー界にとっての吉報だ。いわゆるエリートではないがトップチームでプレーし続けた選手として、同時に、名を成しても好人物と言われ続けた人間として、後進に指導できることは、ピッチ内外で山ほどあるに違いない。
もっとも、プレミア400試合は1つの節目に過ぎない。
脹脛の怪我から約3か月ぶりに復帰したブライトン戦(プレミア30節/〇2-0)では、自らボックス内に進入してアシストも記録した。奇しくも、その10日ほど前には、かつてチームメイトだったスティーブン・ピーナールの現役引退が発表されていた。エバートンの左サイドの縦関係で名コンビを組んだ元ウインガーは36歳で足を止めたが、33歳の元相棒ベインズは、まだまだ走り続けられそうだ。
文●山中忍
【著者プロフィール】
やまなか・しのぶ/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
個人的には、代表での遠征にギターを持参する選手として注目していた。
地元の名バンド、ビートルズの他に、ボブ・ディランやピンク・フロイドを好きなアーティストに挙げるプレミア選手はいまでは珍しい。昔から読書好きで、近年では写真への興味も明かしていたベインズは、一時期、引退後のキャリアをサッカー界の外で送ることを仄めかしていた。
しかし、3年前に手術を必要とした足首をはじめ、相次ぐ怪我による欠場が増えた30代になって、一番の情熱を傾けるサッカーへの思いがより強まったベインズは、今、コーチングライセンス取得の意思を公言してもいる。
これは、英国サッカー界にとっての吉報だ。いわゆるエリートではないがトップチームでプレーし続けた選手として、同時に、名を成しても好人物と言われ続けた人間として、後進に指導できることは、ピッチ内外で山ほどあるに違いない。
もっとも、プレミア400試合は1つの節目に過ぎない。
脹脛の怪我から約3か月ぶりに復帰したブライトン戦(プレミア30節/〇2-0)では、自らボックス内に進入してアシストも記録した。奇しくも、その10日ほど前には、かつてチームメイトだったスティーブン・ピーナールの現役引退が発表されていた。エバートンの左サイドの縦関係で名コンビを組んだ元ウインガーは36歳で足を止めたが、33歳の元相棒ベインズは、まだまだ走り続けられそうだ。
文●山中忍
【著者プロフィール】
やまなか・しのぶ/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。