この閉塞感を打ち破るのは誰なのか? 試合の焦点はそこに集まっていた。
グループ最大のライバルを下しての首位通過を狙う両チームは、17分にパリSGがマルコ・ヴェッラッティ、33分にはマドリーがマルセロを、それぞれ負傷によってベンチに下げざるを得なくなるなど、立ち上がりから激しく衝突した。
重苦しい空気がスタジアムに漂うなか、均衡を破ったのは、ホームチームの伏兵ナチョだった。マルセロに代わってピッチに送り出された26歳(当時)の生え抜きスペイン人DFは、投入からわずか2分後に訪れた見せ場で、大きな仕事を果たしてみせる。
ゴール前で持ち込んだドイツ代表MFのトニ・クロースがミドルシュートを放つと、これを相手CBチアゴ・シウバが右足でブロック。ポーンと跳ね上がったルーズボールがペナルティーエリア内左に流れるところを、走り込んできたナチョがダイレクトで蹴り込み、右のポストに当てながらゴールネットを揺らしたのだ。
相手指揮官のローラン・ブランが試合後に「これがサッカー。マドリーはチャンスとも言えないような場面から得点した」と嘆いたナチョのゴールで先手を取ったマドリーは、その後、追加点こそ奪えなかったものの、S・ラモスを中心とした統率の取れた守備で相手エースのイブラヒモビッチを封殺。1-0で勝利し、決勝トーナメント進出を決めたのである。
ちなみにグループステージでの最終結果は、マドリーが1位、パリSGは2位。後者は準々決勝でマンチェスター・シティに敗れ、3シーズン連続でベスト8の壁を越えられず、2年連続三冠という偉業を成し遂げた国内での戦いぶりとは対照的な結果に、“内弁慶”のレッテルを貼られることとなった。
一方のマドリーは、年明けの1月に求心力を失ったベニテスが更迭され、ジネディーヌ・ジダンが、マドリーBから新監督に昇格。瞬く間に選手の信頼を勝ち得たフランス人指揮官の下、重苦しい雰囲気を一掃したチームはその後、ローマ、ヴォルフスブルク、マンチェスター・Cを次々に撃破した。
迎えたミラノでの決勝では、2シーズン前と同様に同じ街のライバル、アトレティコ・マドリーと対戦。1-1でPK戦に突入する激戦となるも、相手の4人目ファンフランが失敗したのに対し、R・マドリーは5人全員が成功する。
最後は、「ラストキッカーを俺にしてくれと、ジダン監督に懇願した」というC・ロナウドが豪快にネットを揺らし、通算11度目の欧州戴冠を成し遂げた。
欧州No.1クラブを決める“世界最高峰の戦い”
UEFAチャンピオンズリーグ スカパー!で全試合生中継

歴史に残る大逆転やスーパーゴールが蘇る
「UCL名勝負クラッシック」も毎月放送中!