ゼコやクラウチが不振のエースを発奮させられるのか?
プレミア挑戦の1年目、順調なスタートを切ったかに思われたモラタだが、プレミアでは、ここ1か月に渡って快音が聞こえてこない。年始の1月4日に行なわれたアーセナル戦でもシュートミスを連発するなど、ゴール前での自信のなさばかりが目立っている。
加えて、本来であれば代役となるべきミチ・バチュアイが指揮官の信頼を勝ち得ていない。昨夏の時点でもう1枚でもFWを獲得できていれば、バチュアイを売却していたというのが、コンテの本心ではないかとさえ思えるほどだ。
過密日程とモラタの出場停止が重なった24節ブライトン戦(○4-0)こそ、フル出場を果たしたが、これは異例。通常ならば、エデン・アザールを前線中央とする“0トップ”が、モラタのいないリーグ戦でのお決まりのパターンなのだ。
では、今冬に獲得の噂が流れた大型CFたちが、エースのモラタを発奮させる効果をもたらす競争相手になり得るのかといえば、答えは“ノー”だろう。
コンテ体制下のチェルシーで基本となっている3-4-2-1システムで1トップを務めるには、アザールを筆頭とするチャンスメーカーたちとの軽快なリンクアップ、彼らにフリースペースと時間を提供するための献身的な走り、更には攻守が入れ替わった際の守備面でのハードワークが前提となる。
しかし、キャロル、クラウチ、ゼコが、その必要条件を備えているとは思えない。
逆に見えてくるのは、1年半前に就任した当初からの補強に対する指揮官の不満と、補強の主導権を握るフロント陣の現体制に対する短期的な考え方だ。
本稿執筆時点ではローマからのゼコ獲得が実現性を増しているが、仮に1月中に大型ストライカー補強を経たとしても、そんな胆略的な補強でチェルシーが変わるようには思えない。
仮にそうなった場合、チェルシーには、今シーズン末の退任の噂が絶えないコンテが補強戦略に耐えかねてクラブを去る、という現実が押し寄せてくるのかもしれない。
文●山中忍
【著者プロフィール】
やまなか・しのぶ/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
加えて、本来であれば代役となるべきミチ・バチュアイが指揮官の信頼を勝ち得ていない。昨夏の時点でもう1枚でもFWを獲得できていれば、バチュアイを売却していたというのが、コンテの本心ではないかとさえ思えるほどだ。
過密日程とモラタの出場停止が重なった24節ブライトン戦(○4-0)こそ、フル出場を果たしたが、これは異例。通常ならば、エデン・アザールを前線中央とする“0トップ”が、モラタのいないリーグ戦でのお決まりのパターンなのだ。
では、今冬に獲得の噂が流れた大型CFたちが、エースのモラタを発奮させる効果をもたらす競争相手になり得るのかといえば、答えは“ノー”だろう。
コンテ体制下のチェルシーで基本となっている3-4-2-1システムで1トップを務めるには、アザールを筆頭とするチャンスメーカーたちとの軽快なリンクアップ、彼らにフリースペースと時間を提供するための献身的な走り、更には攻守が入れ替わった際の守備面でのハードワークが前提となる。
しかし、キャロル、クラウチ、ゼコが、その必要条件を備えているとは思えない。
逆に見えてくるのは、1年半前に就任した当初からの補強に対する指揮官の不満と、補強の主導権を握るフロント陣の現体制に対する短期的な考え方だ。
本稿執筆時点ではローマからのゼコ獲得が実現性を増しているが、仮に1月中に大型ストライカー補強を経たとしても、そんな胆略的な補強でチェルシーが変わるようには思えない。
仮にそうなった場合、チェルシーには、今シーズン末の退任の噂が絶えないコンテが補強戦略に耐えかねてクラブを去る、という現実が押し寄せてくるのかもしれない。
文●山中忍
【著者プロフィール】
やまなか・しのぶ/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。