誰もが納得できる「ビデオ判定」は実現するか!?
◇シュツットガルト
ドイツ代表FWのマリオ・ゴメスをヴォルフスブルクから復帰させた意味は大きい。
前線でボールを収められ、ポストワークも巧み。ペナルティーエリア内での存在感は、今なお健在だ。
ロシア・ワールドカップ出場のために猛アピールが求められるという状況も、前半戦でわずか15ゴールと、得点力不足に苦しんでいたシュツットガルトにとっては好材料だろう。ゴールに飢えたストライカーが、若い攻撃陣を解放してくれることが期待されている。
これまで、浅野琢磨、チャドラック・オコロ、アナスタシア・ドニス、カルロス・マネと、小回りが利き、スピードを武器とする選手のなかでの最適な組み合わせが探られてきたが、どれも不発に終わった。
そこへゴメスが加入したことで、一気にそれぞれの役割が、より分かりやすく確立された。スペイン合宿では、浅野琢磨がセカンドストライカーとして、ドニスとオコロがサイドプレーヤーとして起用されている。
5バックでの徹底的な守備固めから脱却するとともに、オフェンシブなサッカーで残留争いからも抜け出したいところだ。
◇ビデオ判定
大きな期待と、不安、そして好奇心を人々から掻き立てながら導入されたビデオ判定システムをめぐる問題は、前半戦のブンデスリーガの大きなテーマのひとつとなった。
従来であれば気付けなかった、ゴールに関わるようなプレーをより厳正に判断できるようになったという点は評価される。だが、新しいやり方を取り入れる時は、必ず問題が起きるものだ。今回でいえば、どの状況の、どんな局面に対してビデオ判定が介入すべきかの線引きが、あまりにも曖昧だった。
試合を重ねることに修正され、だいぶスムーズにはなってきたが、無線でのやり取りやモニター確認に時間がかかり過ぎ、試合の流れや緊張感が途切れてしまうのは、さすがに興ざめと言えよう。
個人的な意見として、とりわけモニターチェックは、よほどのシーンでない限り使わないでほしいと思う。
サッカーらしさを損なわない範囲での、ビデオ判定の使い方とは何か。後半戦では、その辺りにも注目して見てみれば、より面白さが増すのではないだろうか。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日秋田生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。最近は日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。
ドイツ代表FWのマリオ・ゴメスをヴォルフスブルクから復帰させた意味は大きい。
前線でボールを収められ、ポストワークも巧み。ペナルティーエリア内での存在感は、今なお健在だ。
ロシア・ワールドカップ出場のために猛アピールが求められるという状況も、前半戦でわずか15ゴールと、得点力不足に苦しんでいたシュツットガルトにとっては好材料だろう。ゴールに飢えたストライカーが、若い攻撃陣を解放してくれることが期待されている。
これまで、浅野琢磨、チャドラック・オコロ、アナスタシア・ドニス、カルロス・マネと、小回りが利き、スピードを武器とする選手のなかでの最適な組み合わせが探られてきたが、どれも不発に終わった。
そこへゴメスが加入したことで、一気にそれぞれの役割が、より分かりやすく確立された。スペイン合宿では、浅野琢磨がセカンドストライカーとして、ドニスとオコロがサイドプレーヤーとして起用されている。
5バックでの徹底的な守備固めから脱却するとともに、オフェンシブなサッカーで残留争いからも抜け出したいところだ。
◇ビデオ判定
大きな期待と、不安、そして好奇心を人々から掻き立てながら導入されたビデオ判定システムをめぐる問題は、前半戦のブンデスリーガの大きなテーマのひとつとなった。
従来であれば気付けなかった、ゴールに関わるようなプレーをより厳正に判断できるようになったという点は評価される。だが、新しいやり方を取り入れる時は、必ず問題が起きるものだ。今回でいえば、どの状況の、どんな局面に対してビデオ判定が介入すべきかの線引きが、あまりにも曖昧だった。
試合を重ねることに修正され、だいぶスムーズにはなってきたが、無線でのやり取りやモニター確認に時間がかかり過ぎ、試合の流れや緊張感が途切れてしまうのは、さすがに興ざめと言えよう。
個人的な意見として、とりわけモニターチェックは、よほどのシーンでない限り使わないでほしいと思う。
サッカーらしさを損なわない範囲での、ビデオ判定の使い方とは何か。後半戦では、その辺りにも注目して見てみれば、より面白さが増すのではないだろうか。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日秋田生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。最近は日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。