西高東低の政治力とスーパースターの必要性を痛感した夜… AFCアニュアルアワード取材記

カテゴリ:特集

佐々木裕介

2017年12月01日

「(日本に)突出した個の力は感じ得ない」(某協会関係者)

会場には元マンチェスター・ユナイテッドのパク・チソン、ドワイト・ヨークのふたりも姿を見せた。写真:佐々木裕介

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 そんななかでも、日本サッカー協会が“ドリーム・アジア賞”を受賞したことは日本サッカー界にとって明るい話題だろう。他国ではあまり馴染みのない、JFAやJリーグが積極的に取り組んでいる社会貢献活動が評価されてのこと、関係者各位には敬意を払いたい。しかしそれらの活動が、アジアの覇権争いを左右する政治力とは直結しない現状は、残念でならないのだが。
 
「代表チームでもクラブでも、日本の組織力には脱帽だよ。現に今年は男女ともに年間最優秀コーチ賞は日本人指導者が受賞(浦和・堀孝史監督となでしこジャパン・高倉麻子監督が男女アベック受賞)している。それは誰もが認めるところだろう。しかし言い換えれば、突出した個の力は感じ得ない。6大会連続でワールドカップへ出場する国としては実に寂しい」とアワードに参列していた某協会関係者は言う。褒められているのか笑われているのか、いささか複雑な気持ちになるのだが……。
 
 アワードの華である“男子年間最優秀選手賞”には、ACLで得点王にも輝いたオマル・ハルビン(シリア代表/アル・ヒラル所属)が選ばれた。ACLでも見せつけた、個の強さを評価されての受賞である。
 
 1984年に創設された同賞の顔ぶれを見ると、選定方法の変更や2012年からアジア以外の地域でプレーする選手を“国際最優秀選手賞”に別類した経緯はあるものの、“砂漠のペレ”マジェド・アブドラ―(サウジアラビア/84年~86年に3度受賞)や“野生馬”キム・ジュソン(韓国/89年~91年に3度受賞)と同格に、2年連続で“アジア最高の選手”と認められた中田英寿の偉大さを改めて感じる機会にもなった。
 
 しかし、彼の引退から11年の月日が流れ、現代のサッカー少年少女は、もはや中田英寿という名プレーヤーをよく知らない。当然と言えば当然のことなのだが……。
 
 なんだかスーパースターが欲しくなった。意図的に創られるものでないことは承知の上だが、90年代の三浦知良、2000年代の中田英寿のような、開拓者であり、世界基準で語れる“稀代のスーパースター”に夢を馳せたくなった。広いアジアで盤石の地位を築き、日本サッカーのさらなる発展を図るうえでも、時代の救世主となり得る存在が必要不可欠だと強く感じた夜だった。
 
取材・文●佐々木裕介
 
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