【ベガルタ戦記】渡邉晋の『日晋月歩』|「ベース」を疎かにしては勝利を掴めない

カテゴリ:連載・コラム

渡邉 晋

2017年08月29日

スプリント回数の少なさが敗因のひとつ。

ルヴァンカップでは石川直樹(5番)がキャプテンマークを巻いて引っ張ってくれた。だからこそ、札幌へと移籍してしまった彼に健闘と躍進を約束した。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 その意味でも、敗因のひとつは「スプリント回数」ではないかと考えていて、試合翌日の27日のトレーニング時にも選手たちには話した。札幌戦でのスプリント回数は「133」。今季のベガルタの勝ち試合の平均値は「164.9」なので、実に32回ほど少ないことになる。
 
 もちろん、夏場であることやゲーム内容などによって回数が伸びない状況はあるため、一概に「走ればいい」というものでもない。ただ、この「32回」という数字は、単純に11人で割った場合でひとり3回ほど。90分のなかで決して増やすことが不可能ではない数字だ。
 
 前節の話をすれば、スプリント回数は165回だった。カウンターを仕掛け合うような、オープンな展開でスプリントが自然と増えるシチュエーションではあったが、前へのパワーをしっかりと出せていた。
 
 監督に就任した2014年シーズンから、『「球際」と「切り替え」と「走力」で相手に負けない』というのがチームのベースとして存在する。まずそこを徹底したうえで、「相手を質で上回る」、「組織力で勝つ」、「面白いサッカーをやる」という話だ。
 
 ずっと言い続けてきたからこそ、今季は意図的に土台の話を少なくしている。ミーティングの際にボードに試合のポイントを記すのだが、そこに書いても敢えて触れなかったり、「ベース」という言い方をするだけだったり。それを表現するのは、もはや当たり前のことだからだ。
 
 私は「自信」や「勢い」は、「ベース」の上に積み上げられるものだと考えている。そもそもの部分を疎かにしてしまえば、そんなものは簡単に消えてしまう。やっぱり泥臭さやひたむきさ、謙虚さといった勝利への真摯な姿勢を持ち続けなければ白星は手繰り寄せられない。
 
 余談となるが、この試合は7月30日に札幌へと移籍した(石川)直樹との初対戦でもあった。試合後に少し話をする機会があったのだが、ルヴァンカップでの健闘と躍進を約束した。
 
 予選リーグでは彼がキャプテンマークを巻いて、若手を鼓舞し、チームを引っ張ってくれた。だからこそ、「お前の分まで頑張って、必ず決勝まで行くから」と。まずは準々決勝の鹿島戦でリーグ戦のリベンジを果たし、その言葉を実現するための第一歩としたい。
 
構成●古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
 
※渡邉監督の特別コラムは、J1リーグの毎試合後にお届けします。次回は9月9日に行なわれる25節・鳥栖戦の予定。お楽しみに!
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