Jリーグでの引退を希望する元イングランド代表FWのストイックなこだわりとは?

カテゴリ:Jリーグ

斉藤宏則

2017年08月21日

「何位を争おうとも、この世界では重圧から逃れられない」

 前述の浦和戦で決めたヘディングシュートがホーム側のゴールに突き刺さったため、「ホームのサポーターに向けて、良い挨拶になったのでは?」と振ってみたのだが、「確かに、あちら側のスタンドにはウルトラ(欧州での熱心なファンの呼称)が集うから、彼らが喜んでくれたのならば、喜ばしいね」としたものの、直ちに「でも、自分としては得点を奪えるのならば、どちら側のゴールでも構わないと思っている」と強調した。
 
 さらに言えば、デビュー戦での得点も彼にとっては特別なことでもないらしく、「デビュー戦だろうと、5戦目だろうと10戦目だろうと、我々ストライカーに求められる仕事はまったく変わらない。後に振り返った時に、いろいろと回想するのかもしれないけれど、その時々にはデビュー戦だろうとなんだろうと関係ないよ。いつでも求められるのは得点。それがストライカーというものだろ?」とキッパリ。さながらマンガ「ゴルゴ13」の主人公のごとく、依頼主からの要求を淡々とこなすスナイパーのような物言いだ。
 
 現在、札幌はJ1残留を目指して奮闘中。ジェイ自身、昨季は磐田でJ1残留に貢献しているが、それを実現するためのポイントを聞いてみた。すると返ってきたのは、「そうだなあ…。まあ、ストライカーが点を取ることだな」とニヤリ。その責務を果たすにあたっての重圧は感じないのか? という問いには「何位を争おうとも、この世界では重圧から逃れられない。ストライカーが重圧から解放されたいのならば、得点を取るしかないね」とも続けた。
 
 これが本場、欧州のストライカーの矜持である。甘さをすべて排除し、ストイックにゴールだけを目指す。そうした欧州規格の本物の勝負師が、北国の雄を2001年以来のJ1残留へと導いてみせる。
 
取材・文:斉藤宏則(フリーランス)
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