【現地コラム】チェルシーは“悪夢”を見るべくして見た! 王者の黒星発進は自業自得だ

カテゴリ:メガクラブ

山中忍

2017年08月14日

バチュアイの先発起用は経営陣への抗議のようにも…。

相手の挑発に乗り、あわや退場となりそうになったD・ルイスに代表されるように、この日のチェルシーは冷静さを欠くメンバーが多かった。 (C) Getty Images

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 ボガの先発起用は歓迎できる部分もあった。エデン・アザールとペドロ・ロドリゲスが故障中だったプレシーズンにアピールに成功した若手が、チェルシーでは珍しく機会を与えられたからだ。
 
 むしろ、筆者には、今夏の移籍市場の目玉としてR・マドリーから獲得したアルバロ・モラタのベンチスタートが解せなかった。
 
「コンディションは上がっているが、FWは適応に時間がかかる」という試合前のコンテの発言から、ベンチスタートは予想できていた。だが、59分に投入されて1ゴール・1アシストを記録したモラタは、状態も、周囲との連係も申し分なかった。
 
 その質は、数的不利となった時間帯にヒールでのバックパスに失敗してポゼッションを台無しにした他、相手DFを吊り出す動きも乏しかったミチ・バチュアイを明らかに上回っていた。
 
 にもかかわらず、バチュアイを先発で起用した采配は、層の薄さを訴えるコンテのメッセージと勘ぐれなくもない。補強不足による指揮官の不満は、同じ過ちを繰り返す経営陣が招いたもの。まさに自業自得である。
 
 プレミアリーグ優勝の次のシーズンにおける補強失敗は、今夏で3度目だ。7年前には、カルロ・アンチェロッティが無冠に終わって職を追われる運命を辿り、2年前にもジョゼ・モウリーニョが10位と不振を極めて解雇されていた。
 
 そして、昨シーズンの優勝監督とは思えないほど、暗く、険しい表情を浮かべ続けたコンテは、今シーズンのプレミアリーグ解任第1号の有力候補として開幕節を終えている。
 
 そうしたことを考えれば、チェルシーは悪夢を見るべくして見たと言える。今は自力で目を醒ますべく、フロントは残る移籍市場で最善にして最高の戦力補強を、指揮官は不満を飲み込んで現状最高の戦力を抽出することに、それぞれ一念発起するしかないだろう。
 
文:山中忍
 
【著者プロフィール】
やまなか・しのぶ/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
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