ガンバでの先輩に当たる宇佐美も、守備の弱さを指摘され…。
そんな状況に、プロ2年目を迎えていた16年のシーズン途中、堂安は焦っていた。J3では21試合・10得点を挙げたが「このままJ1で試合に出られなければ、すぐに同年代の選手に抜かれてしまう。ユースでやっている同級生にも追いつかれるかも、って思うこともある」と苦しい胸の内を明かしたこともあった。
16年7月にはオランダ1部の名門・PSVからの正式オファーが届いたこともあり、移籍へと心が傾いた時期もあった。
しかし、G大阪で結果を残さないまま移籍することは、本意ではなかった。長谷川監督ら周囲の説得もあり、残留を決断。すると不安を振り払うかのように、堂安は走り始める。
「守備も全力でやらないと、試合には出られない。とにかく、やるしかないんです」とJ3の試合でも上下動をいとわず、時には両足がけいれんするまで走りきるようになる。すると、元々備えていたフィジカル面での力強さを、守備の局面でも出せるように適応していった。
そして17年、阿部が川崎へ、大森が神戸へと移籍。すると長谷川監督は、機は熟したと見てG大阪でもレギュラーとして起用し始めた。堂安はこのチャンスを生かし、Jリーグで10試合・3ゴールと結果を残す。さらにU-20ワールドカップでの活躍もあり、一気に世界中から注目される存在に。そしてフローニンゲンからのオファーを受け、海外移籍のチャンスを掴みとった。
Jリーグでは3年間で15試合しか出場していない。U-20ワールドカップのイタリア戦でドリブルからスーパーゴールを決めたとはいえ、「まだあまりプレーを見たことがない」というサッカーファンもまだ多いはずだ。
ここで堂安のプレースタイルに触れてみる。ガンバユース時代は、左利きで同じくフィジカルが強い同ユース出身の家長昭博(現・大宮)2世と噂されていた。密集地帯でパスを受けて、味方をつかったワンツーなどで状況を打開するプレーを好む当たりは香川真司(ドルトムント)とも近いが、相手DFをはじき飛ばすようなフィジカル面での力強さは、本田圭佑(パチューカ)をイメージさせることもある。
もちろん、香川のようなゴール前での冷静さはまだ備えていないし、本田のように相手DFを背負ってのプレーは得意ではない。しかし技術×パワーという、両面に強みを持っていることは確かだ。本人は理想の選手にリオネル・メッシ(バルセロナ)、そしてパウロ・ディバラ(ユベントス)を挙げており、ストライカー周辺でのプレーを好む傾向にある。
実際、アルゼンチン人プレーヤーが見せる重心の低いドリブルから、ひらめきにあふれたシュートやパスにつなげるプレーを得意としており、彼らに通じる部分はある。
それでも若く才能にあふれた攻撃的な選手が、守備面でのデメリットのためにスタメンの座を奪えないという例は、世界中のサッカーシーンで無数に存在する。堂安にとってG大阪の先輩に当たる宇佐美も、やはり守備の弱さを指摘され、昨季のブンデスリーガでは苦戦していた。
しかしJリーグでその壁にぶち当たり、乗り越えてきた堂安の中で、今や守備の不安は大きくないはずだ。自らボールを奪い取り、そしてゴールへ向かう。無限の可能性を秘めた19歳の挑戦が、いよいよオランダの地で始まる。
文:金川誉
16年7月にはオランダ1部の名門・PSVからの正式オファーが届いたこともあり、移籍へと心が傾いた時期もあった。
しかし、G大阪で結果を残さないまま移籍することは、本意ではなかった。長谷川監督ら周囲の説得もあり、残留を決断。すると不安を振り払うかのように、堂安は走り始める。
「守備も全力でやらないと、試合には出られない。とにかく、やるしかないんです」とJ3の試合でも上下動をいとわず、時には両足がけいれんするまで走りきるようになる。すると、元々備えていたフィジカル面での力強さを、守備の局面でも出せるように適応していった。
そして17年、阿部が川崎へ、大森が神戸へと移籍。すると長谷川監督は、機は熟したと見てG大阪でもレギュラーとして起用し始めた。堂安はこのチャンスを生かし、Jリーグで10試合・3ゴールと結果を残す。さらにU-20ワールドカップでの活躍もあり、一気に世界中から注目される存在に。そしてフローニンゲンからのオファーを受け、海外移籍のチャンスを掴みとった。
Jリーグでは3年間で15試合しか出場していない。U-20ワールドカップのイタリア戦でドリブルからスーパーゴールを決めたとはいえ、「まだあまりプレーを見たことがない」というサッカーファンもまだ多いはずだ。
ここで堂安のプレースタイルに触れてみる。ガンバユース時代は、左利きで同じくフィジカルが強い同ユース出身の家長昭博(現・大宮)2世と噂されていた。密集地帯でパスを受けて、味方をつかったワンツーなどで状況を打開するプレーを好む当たりは香川真司(ドルトムント)とも近いが、相手DFをはじき飛ばすようなフィジカル面での力強さは、本田圭佑(パチューカ)をイメージさせることもある。
もちろん、香川のようなゴール前での冷静さはまだ備えていないし、本田のように相手DFを背負ってのプレーは得意ではない。しかし技術×パワーという、両面に強みを持っていることは確かだ。本人は理想の選手にリオネル・メッシ(バルセロナ)、そしてパウロ・ディバラ(ユベントス)を挙げており、ストライカー周辺でのプレーを好む傾向にある。
実際、アルゼンチン人プレーヤーが見せる重心の低いドリブルから、ひらめきにあふれたシュートやパスにつなげるプレーを得意としており、彼らに通じる部分はある。
それでも若く才能にあふれた攻撃的な選手が、守備面でのデメリットのためにスタメンの座を奪えないという例は、世界中のサッカーシーンで無数に存在する。堂安にとってG大阪の先輩に当たる宇佐美も、やはり守備の弱さを指摘され、昨季のブンデスリーガでは苦戦していた。
しかしJリーグでその壁にぶち当たり、乗り越えてきた堂安の中で、今や守備の不安は大きくないはずだ。自らボールを奪い取り、そしてゴールへ向かう。無限の可能性を秘めた19歳の挑戦が、いよいよオランダの地で始まる。
文:金川誉