【コラム】プレミアの「空飛ぶ抗議」はもはや茶番? 解任要求のヴェンゲルも気に留めず

カテゴリ:ワールド

山中忍

2017年03月21日

茶番と一蹴されたアーセナル・ファンの抗議。そしてヴェンゲルは?

自軍ファン(右)からヴェンゲル(左)への当たりの強さが日を追うごとに増しているのは、抗議のプラカードの数やブーイングの大きさから十分に感じ取れる。 (C) Getty Images

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 今回のアーセナルの例も同様だ。契約満了となる今シーズン限りでの退任を求める声が高まる中、すでにヴェンゲルが激しいプレッシャー下にあったことを考えれば、ファンによる「駄目押し」として報じられてもおかしくはなかった。
 
 しかし、試合翌朝の国内紙では、大衆紙ですらスポーツ1面に「NO CONTRACT」とある横断幕を引くセスナの写真はなし。高級紙の『サンデー・タイムズ』では、試合結果(●1-3)を伝えるページ内の小さな囲み記事扱いだった。
 
 おまけに、12分という短い間隔で「IN ARSENE WE TRUST(アーセンを信じる)」と書かれた、ヴェンゲル支持の横断幕を引くセスナ機も飛来したことから、メディアでは概して「茶番」と評されてしまったのだ。
 
 アーセナルと言えば、プレミアでも観戦費用が最も高くつくクラブの1つ。総費用2000ポンド(約28万円)台と言われる「空飛ぶ横断幕」費用を工面したファンは、その寄付金をチケット代の一部か、スタンドで声を上げた後の一杯に回した方が賢かっただろう。
 
 肝心の指揮官は、「試合中に眺めるのは戦況」だとして上空での出来事など気にも留めず、「すでに決心はついている」と試合後に語っている。そして、空に訴えたアーセナル・ファンの抗議が空振りに終わったイングランドでは、その指揮官の決心が「来シーズンも続投」であるとする説がメディアを賑わすなかで週が明けた。
 
文:山中忍
 
【著者プロフィール】
やまなか・しのぶ/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
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