ベトナムサッカーリーグ広報の嘆き。
2月26日、ハノイFC対ベガメックス・ビンズオンを観戦すべく、ハンダイスタジアムを訪れた。
3か月ぶりのハノイ、朝晩は長袖を羽織らないと結構寒い。前回はAFFスズキカップ準決勝の取材だったのだが、ミーディン国立競技場で狂喜乱舞するベトナム国民の興奮ぶりは記憶に新しい。
今回はスズキカップの時とは異なり、ハノイ市内に建つハンダイスタジアムが会場だ。ベトナム政府が保有する建物は、多くのスポーツ用品店が並ぶ地区に位置しており、以前はベトナムスポーツの中心だったことが窺えるのだが、老朽化が激しい。男子トイレは囲いのない壁に目掛けて用を足す代物で、立派なモノを持ち合わせていない筆者には落ち着かなかった。
それもこれもがベトナムサッカーの歴史を見届けてきた“殿堂”なのであろう。スズキカップの前身であり、1998年タイガーカップ・ベトナム大会の決勝も行なわれた由緒ある場所なのだ。
しかし、期待に胸を膨らませながら現地へ向かったのだが……スタジアムの雰囲気は何かが違った。ここ2シーズンのリーグ王者による両雄対決(2016年/ハノイ、2015年/ビンズオン)であり、近年アジアサッカー連盟(AFC)主催の国際大会へも出場してきたチーム同士のカードにもかかわらず、アジア特有のスタジアムの熱気がないのだ。
今回の現場取材をサポートしてくれたベトナムサッカーリーグ(以下、VPF)の広報、トゥン氏の話によれば「ベトナム代表の試合とは違って、国内リーグで大勢のファンが集まる試合はそう多くないんだよ」と、少し恥ずかしくも寂し気な表情で現状を教えてくれた。目測ではあるのだが、おそらく2000人には届いていなかっただろう。
3か月ぶりのハノイ、朝晩は長袖を羽織らないと結構寒い。前回はAFFスズキカップ準決勝の取材だったのだが、ミーディン国立競技場で狂喜乱舞するベトナム国民の興奮ぶりは記憶に新しい。
今回はスズキカップの時とは異なり、ハノイ市内に建つハンダイスタジアムが会場だ。ベトナム政府が保有する建物は、多くのスポーツ用品店が並ぶ地区に位置しており、以前はベトナムスポーツの中心だったことが窺えるのだが、老朽化が激しい。男子トイレは囲いのない壁に目掛けて用を足す代物で、立派なモノを持ち合わせていない筆者には落ち着かなかった。
それもこれもがベトナムサッカーの歴史を見届けてきた“殿堂”なのであろう。スズキカップの前身であり、1998年タイガーカップ・ベトナム大会の決勝も行なわれた由緒ある場所なのだ。
しかし、期待に胸を膨らませながら現地へ向かったのだが……スタジアムの雰囲気は何かが違った。ここ2シーズンのリーグ王者による両雄対決(2016年/ハノイ、2015年/ビンズオン)であり、近年アジアサッカー連盟(AFC)主催の国際大会へも出場してきたチーム同士のカードにもかかわらず、アジア特有のスタジアムの熱気がないのだ。
今回の現場取材をサポートしてくれたベトナムサッカーリーグ(以下、VPF)の広報、トゥン氏の話によれば「ベトナム代表の試合とは違って、国内リーグで大勢のファンが集まる試合はそう多くないんだよ」と、少し恥ずかしくも寂し気な表情で現状を教えてくれた。目測ではあるのだが、おそらく2000人には届いていなかっただろう。
試合を通じて感じたことも幾つか挙げたい。まずは外国人助っ人について。フィジカルが強くがっちりしたアフリカ人選手が多く、6、7年前のタイリーグを観ているようだった。
また、前節のアウェーチームによる無気力試合を観たせいかも知れないが、ホームチーム贔屓な判定が多いように感じて仕方がなかった。
スコアレスドローに終わった試合への虚しさもあり、ネガティブな部分に目がいきがちになるが、明るい発見もあった。特にこの試合で目立ったのが、ハノイの左サイドでプレーする、ファム・タイン・ルオンとグエン・クアン・ハイのコンビだ。彼らが奏でるレフティ独特なハーモニーは実に心地が良かった。おそらくは、Jリーグでプレーしても違いを生み出せる個性溢れる選手たちだ。
AFC主管大会への出場枠確定にも利用される「AFC・クラブ・コンペティション・ランキング」で、今日現在ベトナムはアジア15位(日本は5位)。ライバル国の飛躍の中で順位を下げ、今季はアジア・チャンピオンズリーグへの直接出場クラブ枠が無くなってしまった。
試合後にスタジアム前でこじんまりと営むカフェでひとり、コンデンスミルクいっぱいのベトナムコーヒーを飲みながら、彼らの未来を妄想させられた夜となった。
取材・文・写真:佐々木裕介(フリーライター)
また、前節のアウェーチームによる無気力試合を観たせいかも知れないが、ホームチーム贔屓な判定が多いように感じて仕方がなかった。
スコアレスドローに終わった試合への虚しさもあり、ネガティブな部分に目がいきがちになるが、明るい発見もあった。特にこの試合で目立ったのが、ハノイの左サイドでプレーする、ファム・タイン・ルオンとグエン・クアン・ハイのコンビだ。彼らが奏でるレフティ独特なハーモニーは実に心地が良かった。おそらくは、Jリーグでプレーしても違いを生み出せる個性溢れる選手たちだ。
AFC主管大会への出場枠確定にも利用される「AFC・クラブ・コンペティション・ランキング」で、今日現在ベトナムはアジア15位(日本は5位)。ライバル国の飛躍の中で順位を下げ、今季はアジア・チャンピオンズリーグへの直接出場クラブ枠が無くなってしまった。
試合後にスタジアム前でこじんまりと営むカフェでひとり、コンデンスミルクいっぱいのベトナムコーヒーを飲みながら、彼らの未来を妄想させられた夜となった。
取材・文・写真:佐々木裕介(フリーライター)