志波総監督「彼らは自ら取り組んでレベルを上げていった」。

森重監督(右)は「現実をしっかり受け止めることが大事」と、選手たちのプレーに疑問を呈した。左は志波総監督。写真:松尾祐希

超が付くほどの分厚い選手層を誇る東福岡。この1年生FW大森(20番)も飛躍が期待されるタレントだ。写真:松尾祐希
元日本代表FWの山下芳輝氏らと選手権でベスト4に入った経験を持つ平岡道浩コーチは、「話し合いの内容が薄い。反省が細かくできていないから、プレーもアバウトになっていた」と、本当の意味で課題は追求できていないと話す。
なぜ、平岡コーチは苦言を呈したのか。そう感じたのには訳がある。自分の2つ年下で1997年度に3冠を達成した本山雅志(ギラヴァンツ北九州)たちの代を間近に見ていたからだ。
「(3冠メンバーの)古賀大三とかはフェイントの練習とかを居残りで自らやっていたし、普段の練習でも僕らのプレーを見て盗もうとしていた。でも、いまの代は居残り練習をやっていてもやらされているように見えるし、課題を本気で解決しようとはしていない。3冠メンバー全員がそうではなかったかもしれないけど、少なくともその人数は多かった」
環境も違うため、公式戦52戦無敗を成し遂げた伝説のチームと比較するのは難しいが、主体的に行動を起こさなければ真の意味で強くなれないのは事実だ。志波総監督も「3冠を獲った時はあまり課題をこちらから言わなかった。彼らはなにをしなきゃいけないのかが分かっていたし、それに対して自ら取り組んでレベルを少しずつ上げていった」と、当時を回想する。
修正力を身に付けるためには、偉大な先達のように主体的に取り組む必要がある。しかし、いまの選手は当時を知らない。だからこそ、彼らにとっては2年前に日本一を獲った世代が身近なお手本となる。とりわけ、その雰囲気を1年時に肌で感じ取っている福田のリーダーシップは大きなポイントだ。現状ではまだまだ理想的な振る舞いはできていないが、新10番はあの日本一の経験をチームに還元したいと意気込む。
「プレーで引っ張っていかないといけない。(2年前の主将で10番の中村)健斗君とかはたまに強い言葉で叱責をしていて、求めてくる要求が凄く高いレベルだったので、あの人に合わせれれば凄いサッカーができると感じていた。だから、あの人のように振る舞いたいと思う」
自身のプレー基準を引き上げた上で、周囲への要求レベルを高める。これができれば、おのずとチーム力は向上していくはずだ。
思い返せば、2年前のチームも発足当初は期待されていなかった。しかし、その悔しさをバネに夏冬連覇という快挙を成し遂げた。今年のチームも意識を変えて修正力を身に付けられれば、日本一を狙うだけのポテンシャルは十分にある。頂点を獲った先輩たちを知るコーチ陣のサポートを受けながら、日本一を経験したエースとともに、赤い彗星は進化を遂げられるか。まだ、シーズン開幕まで時間はあるだけに、今後の取り組みに期待したい。
取材・文・写真:松尾祐希(サッカーライター)
なぜ、平岡コーチは苦言を呈したのか。そう感じたのには訳がある。自分の2つ年下で1997年度に3冠を達成した本山雅志(ギラヴァンツ北九州)たちの代を間近に見ていたからだ。
「(3冠メンバーの)古賀大三とかはフェイントの練習とかを居残りで自らやっていたし、普段の練習でも僕らのプレーを見て盗もうとしていた。でも、いまの代は居残り練習をやっていてもやらされているように見えるし、課題を本気で解決しようとはしていない。3冠メンバー全員がそうではなかったかもしれないけど、少なくともその人数は多かった」
環境も違うため、公式戦52戦無敗を成し遂げた伝説のチームと比較するのは難しいが、主体的に行動を起こさなければ真の意味で強くなれないのは事実だ。志波総監督も「3冠を獲った時はあまり課題をこちらから言わなかった。彼らはなにをしなきゃいけないのかが分かっていたし、それに対して自ら取り組んでレベルを少しずつ上げていった」と、当時を回想する。
修正力を身に付けるためには、偉大な先達のように主体的に取り組む必要がある。しかし、いまの選手は当時を知らない。だからこそ、彼らにとっては2年前に日本一を獲った世代が身近なお手本となる。とりわけ、その雰囲気を1年時に肌で感じ取っている福田のリーダーシップは大きなポイントだ。現状ではまだまだ理想的な振る舞いはできていないが、新10番はあの日本一の経験をチームに還元したいと意気込む。
「プレーで引っ張っていかないといけない。(2年前の主将で10番の中村)健斗君とかはたまに強い言葉で叱責をしていて、求めてくる要求が凄く高いレベルだったので、あの人に合わせれれば凄いサッカーができると感じていた。だから、あの人のように振る舞いたいと思う」
自身のプレー基準を引き上げた上で、周囲への要求レベルを高める。これができれば、おのずとチーム力は向上していくはずだ。
思い返せば、2年前のチームも発足当初は期待されていなかった。しかし、その悔しさをバネに夏冬連覇という快挙を成し遂げた。今年のチームも意識を変えて修正力を身に付けられれば、日本一を狙うだけのポテンシャルは十分にある。頂点を獲った先輩たちを知るコーチ陣のサポートを受けながら、日本一を経験したエースとともに、赤い彗星は進化を遂げられるか。まだ、シーズン開幕まで時間はあるだけに、今後の取り組みに期待したい。
取材・文・写真:松尾祐希(サッカーライター)